2月19日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】上下両院の開会式に臨んだルーラ大統領は十七日、壇上より「ブラジルは行政府のものでなければ、司法府でも立法府でもない。一億七千万国民のブラジルが、一つあるだけだ」と訴えて、自分のことだけを考えるのでなく国民全員が一肌脱いで、一連の改革で協力することを求めた。PSDBを初めとする野党は、大統領が往年のPTスタイルをかなぐり捨て、カルドーゾ前大統領の真似をしていると揶揄した。
政府の六大改革である社会保障制度、税制、労働法、農地法、金融法、政治改革の表決に向けて、大統領は議会の協力を求めた。これはバイア州で電話盗聴システムを設置した事件が、調査委員会(CPI)が開設されると、一連の改革審議で議会運営の妨げになることを恐れたと思われる。
通常、大統領は議会へ教書を送付するのみで、大統領自ら赴き開会の辞を述べるのは共和制史上、希有の出来事とされている。まだイラクへの武力介入が始まり国家経済が脅かされたわけではないが、世界は不確定時代に突入し国家の一致団結が求められていると、大統領は強調した。
原油価格は三十五ドルを突破、レアル通貨不安が始まっている。インフレ・ウイルスは、すでに市場へ浸透している。月給で購入できる食品量は、日々減りつつあり、明日にでも金利は引き上げられると述べた。
厳しい時代に備えた対策は手を打たれ、難関克服まで耐乏生活が強いられると警告した。堅固な国家経済の構築が目下の急務だとし、激しい抵抗を受けた官民同一の社会保障制度と年金上限をうたった改革原案の支持を再度訴えた。
大統領は外遊により確信したとして、世界平和と公正な世界秩序は南北格差の是正によるという。それにメルコスールの強化が、世界新秩序参入への必須条件だと語った。そのために全国民に服従を求めるのでなく、自主的協力を求めると締めくくった。