2月21日(金)
【エポカ紙、ジアーリオ・デ・サンパウロ紙十七日】昨年リオ州で、州立大学入学者の五〇%を公立高校出身者に、四〇%を黒人と、黒人やインディオと他の人種との混血者、パルドに割り当てる法律が施行された。人口の四五%を占める黒人の大学進学率が一五%に過ぎない状況を改善し、数世紀に及んだ偏見と差別という負の遺産を償却する目的で始まった割り当て制度が、今新たな問題を生み出している。
ルイザさんとタイナさんは、学費が月額六百レアルの中流階級の子弟が通う私立高校を共に卒業し、一緒に、リオ州立大学の工業デザイン科を志望した。
ルイザさんは入試で七十九点をとり、総合順位では十位の成績だった。タイナさんは五十三点で百六十八位。ところが最終結果はルイザさんの不合格と、タイナさんの合格となった。ルイザさんは白人として、タイナさんは黒人として志願したためだ。
工業デザイン科は三十六人の定員で、その内の五〇%、十八人は公立高校出身者にまず割り当てられる。今回、十八人の合格者中、黒人が一人しかいなかったため、定員の四〇%、十五人を黒人に割り当てるという条件を満たすには、残り枠の十八人の合格者の中に、十四人の黒人を入れなければならなかった。その結果、割り当ての対象とならない、私立高校出身で、且つ黒人とパルド以外の人種の志願者は残り四人(定員の一一%)の内の一人にならないと合格できないことになった。医学部では八〇・四三%、全学部では六二・三%の入学者が割り当てによる合格者で占められており、黒人合格者の八〇%以上が割り当て条件を満たすための、いわば「追加」合格者だ。
割り当て制度が発表された時、こうした割り当てによる合格者の「過多」を危惧する声は多かった。この制度は適用する前に十分な議論が尽くされていなかった、との指摘もある。バイア州立大学では、公立高校出身の黒人に四〇%を割り当てており、州内の黒人人口が四〇%をはるかに上回っていることもあって、問題は起こっていない。
黒人、ヒスパニックを抱える米国では、公立教育機関において、マイノリティーのために一定の定員枠を割くことは違憲とされている。ただ、多くの教育機関が入試選考の際、志願者の人種などの特性に配慮し、追加点を与えるなどの措置をとっている。
ブラジルでは、志願者の人種に関係なく、客観テストの結果が合否判定の基準となってきた。低所得(平均月収二〇五レアル)、高い文盲率(一八%)、公立初等教育機関のレベルの低さといった不利な社会条件の中を生きてきた黒人たちは、ただ一つの基準で判定されてきたため、大学進学に非常な困難を伴ってきた。今回の割り当て制度はそうした現実を改善する意図で始まったが、異人種間の関係に不公平感というしこりを残す結果も生み出したようだ。