三浦敬三さんは凄い。今年で白寿を迎えた老スキーヤーながらフランスの氷河を二四キロも走破したのだから─そこらのご老人とは大いに違う。若い頃から名スキーヤーであったが、フランスに乗り込む前には北海道での練習に汗を流し老骨を鍛えたの記事を日本の新聞で読んだ。老い─は誰にでもやってくる。が、どう迎えるかは意外と難しい▼敬三さんはともかく長男の雄一郎さんを知る人は多い。アルプスやヒマラヤの滑降で世界的な有名人である。今回の敬三翁の旅には同伴し息子の雄太さんとモンブラン山系最長の「白い谷」氷河を三人で滑り、厳寒の氷を思う存分に楽しんだのもいい。プロスキーヤー雄一郎さんも古稀である。決して若いとは申しかねる。孫の雄太さんは三七歳の男盛り▼本当のところは曾孫にあたる里緒ちゃんも白寿翁と共にスキーで氷河の走破を狙ったのだが、無粋なフランスの関係者から頂上への山登りを禁止されてしまい残念無念となったとか。ちなみに里緒ちゃんは三歳ながらスキーの操り方は天下一品の噂があるそうだ。折角のチャンスを粉々にしてしまったフランスのお堅くも律義なお役人 がまったくもってうらめしいではないか▼それにしても敬三翁の精気と若若しさは羨ましい。喜寿は七七歳になるとキリマンジャロに挑戦し難無く滑降。八八歳の米寿を迎えるとアルプスの氷河一〇〇キロを悠々と走破し周囲の人々はびっくり仰天。コロニアにもお年寄りは多いけれども、白寿になってフランスの氷河に挑むほどの元気で勇壮なご老人は少ない。 (遯)
03/02/22