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コラム オーリャ!

 出稼ぎは、日本の作家の持ち駒を増やした。
 桐野夏生の『OUT』には、弁当工場で働く二世のカズオが出てくる。主人公に絡む重要な役所だ。馳星周の『漂流街』はデートクラブに勤務するマリオ(三世)を軸に話が展開する。
 ミステリーや暗黒小説の分野にとりわけ活躍の場があるようだ。二重のアイデンティティを抱えつつ、社会の周辺に生きる。そんな出稼ぎは作家にとって「便利」な存在らしい。
 先駆けは新宿を舞台にした『サンパウロ・コネクション』だろう。日本在住のブラジル人ジャーナリストが売春、麻薬取引に携わる日系女性らの実態をあばいた。ノンフィクション小説だった。出版から十年が経つ。
 ここに挙げた作品はいずれも人口に膾炙した。いつかこうした本を手引きに、小説の設定を現実に生きる日系人を取材してみたい、と思う。(大)

03/02/25