2月26日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十五日】国際的イベントのカーニバルを五日後に控えてリオデジャネイロ市は二十四日、暴力の巷と化し、市内二十三区と隣接五都市で車両三十四台が焼き払われパニック状態に陥った。とくに被害甚大だったのはボッタフォーゴ区でモロトフ爆弾が飛び交い、運行中のバスに放火するなどの事件が相次いだ。バイクで早朝、コマンド・ベルメーリョ(CV)が騒動の予告チラシを配布し、スラム街への軍警による武力介入に抗議するとあった。
騒動はCV支配区を中心に引き起こされたことで、背後にCVの指図があったと推測されている。十六人が火傷、二人は重体。他にバスやトラック、乗用車三十四台が全焼、八台が破損という被害であった。
軍警治安部隊が出動したが、高級住宅地イパネーマ区のビル四棟と閉店中のスーパー、運行中の満員バスに手製爆弾六個が投ぜられた。ピラレス区のスーパーは暴徒に乱入され、商品を略奪された。
軍警本部は、バングー刑務所に拘禁中のベイラマールが、携帯電話による連絡が不可能となったことで刑務所の待遇を不満とし、刑務所の中から騒動の指揮をとったとみている。
州保安局は二十三日、すでに組織の不審な動きを市内各所で察知して、保安長官や州知事に報告していた。保安局は即時、行動開始し被害を最小限に食い止めたとしている。麻薬組織の全州にわたる同時蜂起への対応は、不可能だという。現行犯で逮捕された二十二人の容疑者は、異口同音にベイラマールの指令を認めたが、連絡法については口を堅く閉ざした。
リオ州の治安対策には、多くの専門家の批判が寄せられている。一、麻薬組織を過小評価していること。二、区ぐるみが麻薬取引に専念する犯罪の巣窟をつくらせたこと。三、対策が常に後手であること。四、軍政廃止後、それに代わる犯罪組織の対策機関が不在だったこと。五、組織に政府の手の内を読まれていること。六、組織は全国組織へ展開しようとしているが、連邦政府に対応策がないこと。これらの総合結果が、今回のような騒動で現出したと見ている。