2月2日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】予算の裏付けもなく公務員のベアと年金制度改革の中止を求める単一労組(CUT)との会合でパロッチ財務相は二十五日、イラク武力介入が起これば国際経済は急変し、ブラジルの経済政策も抜本的に変更せざるを得なくなると警告した。これはイラクの平和的解決を、一〇%の可能性とみる外務省の見解を取り入れたもの。新政権と労組の間には大きな見解の相違があり、財務相はCUT本部へ乗り込んで意見調整を行うとした。
イラク情勢がブラジル経済にもたらす影響について外務省は、ブラジルが輸入原油に依存するのは全消費量の一〇%に過ぎないが、戦争に突入すれば原油の国際価格はバレル当たり五十ドルに暴騰するとした。それがブラジルに与えるインパクトは、カントリー・リスクと外資導入、通貨、財政で深刻だと警告した。
ルーラ大統領と財務相はCUT代表との会合の席上、国際情勢が逼迫する前に年金制度改革と税制改革の議会通過が必須だと訴えた。次に輸出奨励のため国際市場の開拓にまい進する。この二点が、国民の要求に応じるための基本的な最優先課題とした。その後は金利引き下げと景気浮上に努力することを約した。
情勢緊迫の中、優先課題を怠ると金利引き上げよりも給与所得者が恐れるインフレの再来となり、調整に継ぐ調整でも追いつかない悪夢の繰り返しになると財務相は警告した。四六・九五%のベアを要求するCUT代表らに、労組は利己主義に偏らず底辺の弱者の立場も考慮し、既得権に固執することを戒めた。
PT政権を樹立するうえで新政府は建設途上にあり、目標は金利引き下げ、農地改革、雇用創出、農業奨励に変わりはないことを大統領は強調して、現政権の口上が前政権の継続に過ぎないとする批判に答えた。
またフェリシオCUT会長は、PT独自の経済政策が実施される時期の明示を求めた。風雲の国際情勢の中に置かれたブラジル経済の立場とその対応について、財務相は三月初め、CUT本部へ赴き忌憚のない意見交換をすると応戦した。