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〝多文化共生〟を実地で=甲南女子大、初研修11人

2月28日(金)

 〃多文化共生〃を学びに、神戸の大学生がブラジル研修にやってきた。甲南女子大学文学部多文化共生学科の第一回ポルトガル語ブラジル文化研修一行十一人は二十二日に着聖し、約一カ月間、アルモニア教育センターで寮生活を送りながら、言葉と文化についての経験を深める。
 来社した二十五日は、まだブラジル三日目とあって、大平佳世さん(二〇)は「耳慣れなくて、言葉になかなかついていけない」と語る。また斉藤薫さん(二〇)も「聞くのが精一杯で、話すところまでいかない」という。
 二年前に創立したばかりの同学部は日本でもまだ珍しい存在で、「語学」「地域研究」「行動」を三本柱とする独特の教育思想を持つ。例えば講座名には「異文化で暮らす」「多文化間行動基礎演習」「文化の出会う形」などがあり、社会学、文化人類学、言語学を中心とする学際的な教授陣が授業にあたる。
 今回の研修では午前中にポ語を勉強し、午後は視察をする。公立学校や日系私立校、「憩の園」「こどものその」などの日系福祉施設、サンベルナルド・ド・カンポ市のファヴェーラ(スラム街)、宗教博物館を見学するほか、ホームステイや、リオのカーニバル、イグアスーの滝なども予定に入っている。
 一行を引率してきた同学科講師のリリアン・テルミ・ハタノさん(リオ州出身)は「ここで経験することすべてが、学生にとっては勉強です」と研修を意味付ける。一方、受け入れ側のアルモニア教育センターの渡邊次雄館長も「従来のスポーツ交流に加え、念願の文化交流がはじめられてありがたい」と語った。