嫌な事件だ。韓国・大邱で起きた地下鉄放火事件は、サンパウロに暮らす私たちにとっても決して他人事ではない。
車を持たない人には欠かせない移動手段のメトロで、同様の事件が起きればどうなるか。
込み合う車内を見渡すと、連結部分から他車両に移動は出来ない上に、窓もわずかに開くのみ。〈非常時には開けて下さい〉と表示されたドアだけが、唯一の逃げ道だ。まさに動く棺桶に近い。
二百人近い犠牲者を出した今回の惨事が人の手によるものだったことが、恐怖に拍車をかける。
世界中に伝わった報道に接した異常者が、「コレダ」と同様の手口を使いかねないからだ。
多数の乗客が巻き添えとなった米国同時多発テロ後、世界的に「安全」の概念が揺らいでいる。
自警するだけでは身を守れないほど現代社会の病巣は深い。 (記)
03/03/01