サンパウロ現代美術館が来月で開設四十年になる。 ビエンナーレの創始者であるチチロ・マタラッゾが収蔵品を寄付する形でスタート。移住間もない画家の楠野友繁さんと近藤敏さんが、創成期を支えていたのはあまり知られていない。展示から修復まで、徹夜になることもあった。
「列車に乗って州内を巡回したもの。ポ語も解さず、乗り過ごさないかと冷や汗をかいていた」と楠野さん。普及を使命に、シャガールなどの逸品を携え、各地を熱心に行脚。現代美術のイメージとは反対に、舞台裏には汗があった。
いま現代美術館といえばリオである。ニューマイヤーがデザインしたそれは観光名所に。今度はグッゲンハイムの進出が華々しい話題を振りまく。工費五百二十億レアルは市が負担する。美術の場合、お金が動けば見る側の心が動くという話でもなかろうが。(大)
03/03/04