3月8日(土)
釣り具店マリペスカの店主池部旗男さん(六一、コチア青年)が二月中旬、サン・セバスチャン市沖にイカ釣りに行き珍しい海の魚を手に入れた。
池部さんの乗った釣り舟がイカの群れを求めて漁船の間を縫っていくと、漁師たちが「見たことのない魚だ」という声が聞こえる。池部さんは写真を撮ろうとしたが、お互いの船が揺れてうまく撮れない。珍魚を持った漁師が「セアザに売る」というので、池部さんが交渉して買った。池部さんは釣り具店を経営して二十五年になり、海には始終出掛けている。その池部さんが「初めて見る」怪魚だ。漁師の網にかかったもので、内蔵が飛び出しているところから、深海魚とみられる。
全長六十五センチ。顔はフグ、象、イルカを思い出させる。体はうろこがなく、海ナマズのようだ。鼻の柄は硬く、先はラッパのように開いており軟らかい。尾はフカのようだ。背びれには鋭いとげがある。口は腹側についており、臼のような歯がついている。深海の底に住む動植物を食べているような口だ。ラッパは餌を探す触覚のような役目を果たしているようだ。池部さんは、この魚をはく製にする考えだ。
マリペスカ=サンパウロ市リベルダーデ区コンセリェイロ・フルタード街三〇八番、電話=3209・4241。