3月14日(金)
文化人類学、民族学に関する国際会議が七月四日から十二日までイタリア・フィレンチェで開かれる。「老化」の部門で、金本伊津子平安女学院大学助教授がブラジル日系移住者について現状を報告する。三日から十日まで、サンパウロ市に滞在、事前調査を進めた。
金本助教授は九〇年代後半より、五回にわたって来伯。サンパウロをはじめ、ロンドリーナ、リオ、ヴィトリア、ベレーンなどで日系コミュニィティーの高齢者福祉問題を研究してきた。
今回の目的は、サンパウロ日伯援護協会(和井武一会長)が昨年より実施している「在宅介護の実態調査」の分析。担当職員から概要などについて、説明を受けた。
アンケート用紙の配布はすべて終了。回収率は現在、約七%だという。質問事項は当初、日本語のみで書かれていた。介護に当たる二世、三世の中には日本語を理解出来ない人もおり、ポルトガル語版を後からつくった。
金本助教授は、「一世と次世代の間に意識のずれがあるのではないか」と、指摘した。
日本在住の研究者は、各国文化や生活の比較という観点から、実態調査を注目しているという。
国際会議の「老化」の部門では、ブラジルの日系人のほかに、ハワイの日系人、シンガポール、インドネシアのマイノリティーが取り上げられる。
金本助教授は、「日本からの年金で悠々自適に過ごしている人がいると思えば、家族もおらず孤独に生活しているお年寄りもいる。ある地方では、出稼ぎの影響で高齢化率が四〇%に達していた」と、問題の複雑さを強調する考えだ。