日系福祉団体のための支援歌謡祭。勢いが衰えないカラオケ熱に乗っていま、盛んだ。開催すれば、ほぼ確実に上がり(収益)があり、主催者側にとっても労に見合っただけの援助ができるので、やりがいがある▼例えば、慈善夕食会などは、上がりを寄付します、と言いながら、実際には主催者が参加チケットの消化をその団体の役員に押し付けたりすることがある。やってあげているのだから、そのくらいの犠牲は払ってもいいでしょう、といった態度が見える。押し付けられた側は迷惑だ▼そこへいくと、支援歌謡祭は、祭りに出て歌いたい人から〃出演料〃を徴収、それを福祉団体に寄付する。出演料には微妙な相場があるといわれるが、主催者は敏感にそれを読み取って額を設定する。高いからやめた、などがあっては成功はおぼつかない。いまや、上がりのことだけを考えるなら、有名プロ歌手を呼んでコンサートを開くよりも、はるかに有利、有効であるのは間違いない▼歌謡祭で歌ってみたい人はつぎからつぎと出てくる。歌の力、歌の魅力というのだろうか。歌の介在が正(まさ)しくなにかを成し遂げる原動力になっている▼支援歌謡祭は、歌い手が末広がりだけに、将来とも、資金集めには強力な方法だ。さきに連載した「越境する日本文化、カラオケ」で、歌謡団体関係者が、カラオケはあと十年は廃れないと見通した。支援してもらう福祉団体には、快い〃御託宣〃だったのではないか。(神)
03/03/14