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コラム 樹海


 アメリカの料理は手荒く大雑把で不味いのが定評らしい。あの国は移民で成り立っているので家庭での食べ物はお国ぶりがあり色も香りも味も多彩に違いないと想う。ところがどうもあのでっかいハンバーグにばくりとかぶりつくのが庶民の味と耳にしたが、真偽の程はどうだろう。いや、歴史が浅く新しい国だし本来のアメリカ料理はまだ完成されていないのかも知れない▼ブラジルにしても独特な料理は数少ない。奴隷としてアフリカから連れて来られた黒人たちが主人である農場主が捨てた豚の腸や胃袋に耳と尻尾などを加え黒いフェイジョンで煮たフェイジョアーダくらいのものではないか。あれもリオ流あるいはバイア風と地域によって風味も食材も異なるけれども、今やブラジルを代表する美味なる料理である▼それとこの国が北米と似るのは何処に行っても同じ食べ物があることだ。アメリカならばハンバーグ。ここではアマゾンも南大河州でも定食はご飯に薄いビッフェとフェイジョンそれにトマテが付くお定まりのコースである。これに比べると日本や中国は地域色が濃く種類も多い。「お袋の味」や「故郷の味」とは言うけれども、料理も趣向も様々なのである▼東京や大阪のような都会に郷土料理店はいっぱいある。が、キンピラ牛蒡だけが「お袋の味」ではないし、故郷の地元で食べる物とはひと味もふた味も異なる気がする。日本の人たちは「旅」が大好きだ。見知らぬ風景を眺め見つめたいもながら各地の味を楽しみたいの想いも強いのではないか。  (遯)

03/03/15