米のイラク攻撃が秒読みの段階に入った。恐らく、読者がコラムを目にしているときには開戦しているかもしれない。武力行使を回避する手立てはサダム・フセイン大統領と家族の亡命が残された唯一の道なのに─イラクは拒否してしまった。戦争は「悪」だし、誰しも戦争は好まない。けれども、戦うべきときもある▼米英と仏露独の対立をも生んだ攻撃だが、イラクに非があるのは明らかだ。十三年前にイラクがクウェートに侵攻したのが切っ掛けとなった湾岸戦争に事は始まる。あのときにイラクは国際的な監視のもとに大量破壊兵器を廃棄する義務を負うことを約束し、停戦も成立した。ところが、イラクはこの義務を履行せず国連の調査にも虚偽の報告をしたりの世界の国々を愚弄するような言動が目立ち安保理決議違反を重ねている▼この事実関係をきちんと確認しておきたい。勿論、アメリカにもイギリスにも「反戦」の動きはある。日本でも世論の動きを調査すれば「戦争反対論」が多数を占めるに違いない。小泉首相は参議院で「世論に従って政治をすれば間違うこともある」と答弁しているが、世論の形成には理性や合理性よりも情緒・感情的な要素が多いの一面もあり、必ずしも「正しい」とは言えない▼この戦争を巡っては日本の新聞やテレビも意見を二分してる。だが米英を支持と決断した首相の考え方は国際協調と日米関係からも正論と評価していい。議論と口先からの「平和」論から平和が到来したことは一度もないことにもっと目を向けるべきだ。 (遯)
03/03/20