3月21日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】PT政権では「金庫破りの名人」といわれ、都市ゲリラ・パルマレスの元筋金入りメンバーであったジウマ・ロウセフ鉱動相と、反対側の道を歩み獄窓生活を送った後キュウーバでゲリラ訓練を受けたジルセウ官房長官の二人は異色的存在だ。
今日のPT政権を築き上げるため何度も整形手術を施し、いくつもの身分証明書を持ち祖国へ密入国を繰り返し、官憲の目を逃れた昔日の労苦がしのばれるジルセウ官房長官はタカ派と呼ばれることを喜ばない。PT政権が発足して二カ月半、大統領府では大統領以外で官房長官の右に出る者はいないようだ。
長官は中央集権主義で、溺れるほどの仕事に埋もれても、まだ全ての問題に手を出す猛烈主義者。暗黒街の顔役ベイラ=マールのサンパウロ州移送からサルネイ議長の上院執行部で情報管理に口を出し、下院はクーニャ議長に一任したのに統制管理局の戦略で意見を述べる。
PT内でジルセウ官房長官が影響力を強め始めたのは、大統領選のとき過激派を取り込んで官房長官の重圧で押えてきたときからだ。PTを育てPT票を集めた政治力は自他共に認めるところで、ルーラ政権の官房長官に座ることは誰にも容易に想像できた。
アダウト運輸相の汚職関与で、大統領が更迭第一号を決心したのを握り潰し、続投させる決定をしたのは官房長官の功績だ。遺伝子組み換え農作物の解禁も、官房長官の胸先三寸にかかっている。イラク攻撃に対するブラジルの公式態度は、官房長官が決める。
インフレがブラジル経済を脅かすなら、官房長官は財界や官僚の批判を恐れず果敢に金利引き上げや予算カット、国庫の歳出を凍結させることに躊躇しない。
政権就任直後、大統領はジルセウ官房長官に議会を中心に政治面担当を、ドゥルシ総務長官に民間団体などの折衝を委任した。しかし、官房長官はすでに総務長官の縄張りも自分の勢力範囲に取り込んでいた。労組も包含し、さらに社会福祉団体、NGO、使節団にも手を回していた。
メルカダンテ上議にとって、ジルセウ氏は往年のライバルで二〇〇一年、党大会で白熱の論戦を交わした。二人はプライドが異常に強く、ヨリを戻すことは永遠にないとみられている。