3月28日(金)
ブラジル日本移民最古の植民地の一つ、レジストロ。そのレジストロへの日本移民が今年、入植九十周年を迎える。同市では今年十月に記念式典を予定。レジストロ日伯文化協会創立十周年の式典も併せて開催するほか、記念事業として文協会館を建設する。既に実行委員会が組織され、節目の年を祝うべく全市をあげて準備を進めている。二十六日、レジストロ文協の山村敏明会長、滝内功副会長、佐々木悟前会長が案内のため来社した。
レジストロへの日本移民の歴史は一九一三年、当時の海外興業株式会社(KKKK)がサンパウロ州リベイラ河畔にイグアッペ植民地を創設したことにさかのぼる。周辺の桂植民地、セッテ・バラス植民地と併せ、当初から永住を目的とした開拓植民地として開かれた。日本人とともに発展してきた町、レジストロ。同市では現在、約千三百五十の日系家族が暮らす。
レジストロ日伯文化協会は十年前の入植八十周年を機に、同地のベースボールクラブの日本人部が主体となって設立された。現在の会員は三百五十家族。日本文化の継承を目的に、非日系の会員も広く受け入れている。
九十周年記念事業の目玉が、レジストロ文協の会館建設だ。同文協は設立以来、自前の会館を持たなかった。今回、市当局から土地の寄贈を受け、建設が実現した。
会館の敷地は約四千平方メートル。そのうち千二百平方メートルに会館を建設する。
建設費は約三十万レアル。日本の建築をイメージした建物に、日本語学校やサロンなどが設置される。既に基礎工事は始まっており、現在、関係者への協力を呼びかけているという。「今回の会館建設が、沈滞気味の日系社会の活性化につながれば」と、山村会長は語る。
また、会館敷地内では、日本の草の根無償援助による「高齢者活動センター」の建設も進んでいる。実行委員会ではこのほかにも、同市の日系社会実態調査の実施、九十周年記念誌の発行などを計画している。
この日来社した一行は、実行委員会でも役員を務める。「八十年祭までは日系が中心でしたが、今回は非日系の人達の協力も多く得ています。今後はこういう方向であるべき。日本人だけでする時代じゃなくなってきていると思います」という声も聞かれた。
記念式典は十月二十六日。式典にあわせて、同市の姉妹都市である岐阜県の中津川市から慶祝団が訪れるほか、十一月初めのレジストロ灯籠流しまで、演芸会や写真展など各種の記念行事が催される予定だ。
山村会長は、「レジストロの出身者は全伯に散らばっています。皆さんにこのことを知ってもらいたい。そして、十月には是非レジストロを訪問してもらいたい」と呼びかけた。