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コラム 樹海


 岩手県人会は温かい。会費は、県人会運営にとって大切な収入源には違いないが、これを払えないからといって、あるいは年をとって動けないから、会員であることを辞退する、会報の送付をやめてくれ、などということは言わないでいただきたい――毎月発行の会報で、会員にこう呼びかける県人会である▼ほかの県人会報も読ませてもらっているが、こんな呼びかけは初めて見た▼岩手県人会には、以前から会費の割り引きがあり、〃不要の路線〃もとっている。会費の額は定めているが、あくまで払える人たちのための設定であり、納入がムリならば、「要らない」というのだ▼そこには、長年会員であった人は県人会を支えてきた功労者だ、県人会が続く限り、いつまでも会員でいてほしい、子孫に県人会を継承してほしい、との願いがある。ある意味では、非常に覚めているともいえる。県人会が続く限り、の言い方は限界を見切っている。これはこれで、かえって気持ちがいいくらいだ▼同県人会は、今年創立四十五周年を迎え、来る七月に祝典を催す。母県から慶祝団を迎えることが決まっている。一般会員にも呼びかけた。「みなさんのふるさとの親戚や友人にも、ブラジルを知る機会を与えていただきたい。県人会が母県向け招待状をたくさんつくり、用意したので差し上げてほしい」▼行き届いたことだ。温かさと前向きのやる気。これこそ県人会の原点だ。岩手県人会の四十五周年は中興期なのかもしれぬ。(神)

03/03/28