4月3日(木)
世代交代という言葉は、すべての日系団体が抱える重い命題だ。日本移民百周年祭を五年後に控えた現在、コロニアを代表する二団体はまったく対照的な答えを出した――。公約通り徹底的な人事一新をはかり、革新的なシャッパを公表したブラジル日本文化協会。ほぼ二世でかため、初めて女性副会長も氏名されている。対照的にトップ人事を一切いじらず、満場一致で和井会長五選を決めた援協。今回の選挙が、十年後にどのような明暗を生むのだろう。
文協改革準備委員会は次期文協理事会と評議員のシャッパを発表した。
次期文協会長には上原幸啓氏(日伯文化連盟会長)が指名された。上原氏は文協改革準備委員会のメンバーでもある。
同時に発表された理事会副会長、評議員会長、副会長、監査は次の通り。
◇理事会
第一副会長・吉岡黎明(元天理大学客員教授)、第二副会長・和田忠義(アルモニア教育センター理事長)、第三副会長・松尾治(日伯文化連盟副会長)、第四副会長・伝田英二(日伯文化連盟副会長)、第五副会長樋口トモコ(文協理事)。
◇評議員会
会長・大原毅、第一副会長・池崎博文、第二副会長・ホンダ・タケシ、第三副会長・多良間俊彦、第一幹事・ハラダ・キヨシ、第二幹事・水本エレーナ、第三幹事・カワノ・ヨシオ。
◇監査
下本八郎、ナガド・ジョルジ、ニシオ・ロベルト、岡野修平、山本エジソン。
発表された次期理事会と評議委員シャッパは文協ビル事務局内に十二日まで貼り出され、同日行われる評議員会で承認される。
なお、評議員会内部に常設の改革委員会が設けられ、十五人のメンバーによって構成されることも同時に承認され、同委員会は「改革『準備』委員会」から、正式に「改革委員会」として活動することになる。
先月二十九日に行われた定期総会を受け、サンパウロ日伯援護協会(和井武一会長)は二日午前十一時三十分から、第一回定例役員会を開き、理事の役付選挙を実施、和井会長が再選した。同会長は今期が五期目。「一流の医者に一流の機械を使わせて、病気を治療したい」と、抱負を述べた。会長、副会長、専任理事のトップ人事に変更はない。
役員会には、理事四十人のうち二十九人が出席した。まず、選挙方法を討議、シャッパ制が採用された。理事の有志がシャッパを発表、満場一致で承認を受けた。
和井会長は八十九歳。高齢のため、去就が注目されていた。
日伯友好病院(大久保拓司院長)の予算は今期、全体の九二%(八千四百二十八万二千七百レアル)を占める。経営をまとめられるのは和井会長しかいないというのが再選の理由だ。
友好病院は昨年十月、神内総合医療検査センターの建設に着工。来年一月から二月までに、竣工する予定。神内良一名誉会長が主宰する日本国際協力財団が三月初め、助成金として百万ドルを送金したばかり。
和井会長は、「もうそろそろ辞任したかった。金をもらったからやめたらよいなんて、人間的に許されない」と、落成式までは、責任を持って指揮を執る考え。
さらに、「優秀な医者を入れても、医療機器が整っていなければ適切な治療を実施することは出来ない」と、設備投資にも力を入れる。
「社会復帰センター、やすらぎホーム(小野克人ホーム長)は草の根無償資金の協力を得て改装中。建物の老朽会が目立ち、気掛かりな状態だ」と、同ホームにも手を加えていく意向だ。
執行部の人事では、堀井文夫第一常任理事、三宅義之第二常任理事がはずれ、ほかの常任理事の序列が繰り上がった。加藤英世理事が第七常任理事、大原毅理事が第八常任理事に選ばれた。
副会長、専任理事は次の通り。第一副会長=酒井清一、第二副会長=尾西貞夫、第三副会長=野村次郎、第四副会長=森口イグナシオ、第五副会長=菊地義治。
敬称略。