4月4日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】中央銀行の独立性を高めることを前提とする連邦令百九十二条の金融法一部改革案を下院は二日、第一次表決で賛成四百四十二票、反対十三票、棄権十七票で可決、政府は面目を施した。同案の通過は少数与党で発足したPT政権の議会運営を占う試金石とみられ、圧倒的多数による可決で、政府が進める税制、年金改革に弾みが付きそうだ。賛成票のうち二百票は、野党の票とみられている。
ジルセウ官房長官の奔走により賛成票四百人の議員説得には成功したが、内容はPDTが棄権に回り野党議員の賛成票で可決に持ち込んだ。またPMDBの協力では、政府は借りをつくったようだ。反対票を投じたのは、PRONA六票、PMDB四票、PFLとPSDB、PDT各一票など。
連立与党だけでは二百五十三票に過ぎず、可決のために必要な三百八票には至らなかった。PSDBはルーラ政権の初仕事が、セーラ元上議の上程案を可決することとは、皮肉な巡り合わせと揶揄した。
金融法改革案の可決を受けたサンパウロ市証券取引所は二日、活気がみなぎりドルに対しレアルが続騰、三・二六二レアルに付けた。カントリー・リスクは、九百六十八ポイントへさらに下げた。カントリー・リスクの低減で外資導入に拍車がかかり、次々朗報が入っている。
連邦令百九十二条は中央銀行の年利上限を一二%とする規定を廃止し、場合と状況で対処方法を設定するという修正案がセーラ元上議の原案通り、そのまま提議され表決された。メイレレス中銀総裁は、野党をも巻き込んだルーラ政権政略の成果だと語った。
中銀改革の第一段階は通過したが、実際にPT政権が同案をどのように利用するのか、野党は疑心暗鬼だ。PFLは、間髪を入れず理事らの固定任期制を盛り込んだ中銀独立の具体案を上程するようだ。PTは先手に出ようとするPFLを牽制して、信用組合など小口金融が先だという。
第二次表決は、来週の予定だが中銀独立制の具体的内容と独立権限の範囲も盛り込まれる。中銀の独立には議会と行政府に対し、インフレ率と財政収支の管理、金融機関の安定、通貨政策などの責任を遂行することが前提となっている。
いっぽう連立与党内では、中銀独立制について歩調が乱れている。百九十二条に融通性を持たせた案では合意をしたが、PT執行部の中銀独立権限が原案通りに上程されるなら、真っ向から反対すると息巻いているグループもいる。
PT所属の下議九十二人のうち五十六人で、さらにPCdoB、PSB、PDTにも輪を広げるという。
この一派は中銀問題に限らず年金や税制改革でも、たとえ党から除名されても反対派に回るという。労働者の砦である中銀を、国際金融メジャーの手に渡してはならないと叫んでいる。