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SARS感染疑惑 可能性薄まる=保健局 慎重に対応=「〝警告〟と見るべき」と注意

4月4日(金)

 【既報関連=エスタード・デ・サンパウロ紙、ジアーリオ・デ・サンパウロ紙三日】サンパウロ州保健局が二日、イギリス人女性記者の重症急性呼吸器症候群(SARS)感染疑惑を発表した件で、同記者の感染確認は三週間後、アドウフォ・ルッツ研究所の検査結果の発表で明らかになるという。
 感染の疑いのある女性は、英国テレビ局『ITV』プロデューサーのサリー・ブロワー記者(四一)。現在アルバート・アインシュタイン病院に入院しており、外部に室内の空気がもれない病室にいる。病状は良好で、血液検査からはウイルス性の肺炎ではなく、細菌性の肺炎の可能性が高いと同病院は発表している。実際、抗生物質の治療がよく効いている。
 ルイス・ロベルト・バラーダス・バラッタ同局長官は、「正式な検査結果が出るまでは、SARSではないと言い切れない」と慎重な姿勢を崩していない。保健当局は予防対策として、ブロワー記者と同じ旅客機にいた乗客を捜している。
 専門家によると、SARSウイルスの感染経路はまだ不明なので、最大の注意を払うことが予防対策となるという。医学専門教師は、「大げさすぎるほど注意する方が、SARSを軽く扱って後でひどい目に遭うよりいい」と言明している。
 サンパウロ連邦総合大学(Unifesp)ウイルス学研究所のセウソ・グラナット教授によると、SARSウイルスの特徴の一つは、ウイルスに感染した人の近くにいた人は感染しなかったのに、遠くにいた人が感染してしまうという不規則性があることだという。
 ウンベルト・コスタ保健相は、「今回のSARS感染疑惑患者は、細菌性の肺炎にかかっており、ウイルスに感染していないと思うが、ブラジルにSARS感染者が出るのは時間の問題だろう」と深刻な様子。国立保健財団(Funasa)のジャルバス・バルボーザ氏は、「我々はこの事態を〃警告〃と見るべきだ。感染の疑いがあれば素早く対処し、隔離しなければならない」と注意を呼びかけている。
 ちなみにサンパウロ州カンピーナス市保健局も二日午前、日本から多くの香港の人とともに入国した女性(二六)がSARSに感染した疑いがあると発表していた。この女性は機内で熱、せき、呼吸困難、頭痛、胸の痛みなどを訴え、ニューヨーク空港で医師に診てもらい、「ブラジルに着いたらすぐ、病院へ行くように」と言われた。カンピーナス総合大学(Unicamp)付属クリニカス病院の医師団が女性を検査し、「SARSではない」と保証。同市保健局は同日午後、午前中の発表を却下し、サンパウロ州保健局は英国人女性記者の件を唯一の感染疑惑ケースととらえている。(本紙七面に関連記事)