4月5日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】諸改革に先駆け連邦令百九十二条金融改革案の可決で自信を深めたジルセウ官房長官は三日、野党PFLとPSDBへ「PTが初めて結束したのもさることながら、野党の支持がものをいった」と協力を謝すため挨拶回りをした。ルーラ大統領も、幸先よしと第二弾に年金改革で闘志を燃やした。いっぽう野党は、何はさておき先ず年金改革の具体案を提示するよう要求した。
官房長官の謝礼挨拶は、四月上程予定の年金改革案の表決へ向けた根回しとみられている。同長官が、年金改革は大統領の命令でもPTの希望でもなく、国家財政の問題だとした。議会多数の協力によって同案も可決されることに自信があると、同長官は述べた。
下院で年金改革に必要な票は、最低三百八票であり連立与党だけでは二百五十三票が精いっぱいだ。改革案上程者のギマランエス下議(PT)が、年金改革はPT政権だけの問題ではなく、代々の政権にも関わる国家的問題だと述べた。
金融法改革案の勝利が、ルーラ政治の流れを変えたといえそうだ。同案可決のための四百四十二票のうち、百六十票はPFLとPSDB、PPBの投票であった。政府は、諸改革にこの百六十票なくして可決はないと再確認したようだ。
官房長官が「PTは、飾らない開かれた党だ。筋の通った意見なら歓迎する」と宣言した。PTが懸念しているのは、態度が不明瞭で金融改革案では棄権したPDTとの連立関係だ。ジェノイノPT党首は、PTの今後の課題としてPDT議員にもっと注意を注ぐことに努めると提案した。
いっぽう大統領は聖職者との会合で、「金融改革案の可決は、議会自身が改革に理解を示した証拠」と受け止めていると述べた。まず国民の支持があって政治家が反応するのだが、まだPTの政治力に疑問を抱く人が多いとした。
経済成長に掛ける国民の期待は大きいが、解決しなければならない深刻な問題も多い。個人としては確実で不動の政策を貫きたいので、静観を求めると大統領は聖職者らに伝えた。またイラク戦争を機に、メルコスール加盟国の結束とアフリカ諸国との接近を図りたいとも述べた。
官房長官の訪問を受けた野党は、それだけで年金改革でも自動的に支持票を得られると思うのは早計だとしている。とにかく最終的な年金改革原案の提示を求むという。年金改革では与党内からは勿論、野党からも集中攻撃を受けるであろうから、それに耐えられる体力をPTは養っておくことだと野党はいう。
英誌『エコノミスト』は金融改革案の通過を次のように論評した。ブラジルの近代化に向けた確実な前進だが、続く年金改革は職種別の小刻みなものになると観測している。税制改革の可決のためにも、重要な布石だとしている。年金改革が当初の意気込み程でないにせよ、ルーラ政権にとって勝利に違いないとした。