コラム　オーリャ！

　旅行や取材などでサンパウロを離れると、必ず試みることがある。日ごろ、汚染された空気に無言の悲鳴を上げている両肺の大掃除だ。
　先日、初めて訪れたマナウスで、国立アマゾン研究所がジャングル内に所有する観測用の鉄塔に上がる機会を得た。
　地上約四十五メートルの頂上部から見える一面の緑は絶景の一言。鳥や猿の鳴き声を聞きながら、たっぷりと新鮮な空気を肺に送り込んだ。
　「緑の地獄」の異名を持つアマゾンも、私にとってはまさに「天国」。至福の一時を味わった。
　喜びもつかの間、サンパウロに戻ってしばらくすると、気管に違和感を感じ始めた。
　空気の差だな、と思っていた所に、今度はブラジルにも「謎の肺炎」上陸の一報が。
　当分、深呼吸をする気にはなれない。　（記）

03/04/05