4月9日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】ルーラ大統領は七日、テレビ・ラジオを通じて三カ月間の施政演説を行い、苦肉の策であった財政緊縮政策は止むを得ないことと述べた。国民の協力により見える成果が経済面ですでに表れ、国際的評価を受けているとした。レアルは続騰、カントリー・リスクは半分以下に、インフレも下降へ、外債証券も大きく回復、企業や民間銀行の外資調達も順調に行われていると語った。
大統領は九分間にわたり、ブラジルの国際評価を強調した。基本金利の引き上げと省庁予算の削減は、まさに「良薬口に苦がし」ではあったが、すでに効果は表れているとした。有頂天にならずしっかり足を地につけ、明日を信じつつ前進して欲しいと国民に訴えた。
大統領が就任した当時の政権はドルが四レアル、カントリー・リスクは続騰し、インフレの悪夢が蘇生しつつあり、国際金融におけるブラジル企業の信用は皆無に等しかったと語った。海外は、ブラジルがモラトリアム前夜にあるとさえ論評していたと回顧した。
最低賃金の実質調整が二%にも満たないこと、経済成長を望むのに金利引き下げをしないことを弁解した。「飢餓ゼロ」計画も、スタートで躓いたが、これは一般庶民にも及ぶ国家の大計である構造改革を試みるものと説明した。
年金改革と税制改革は新政権改革の目玉で、政府機関内の特権乱用や汚職構造を防ぎ、国家の発展に希望をつなぎ、雇用を創出する唯一の方法だとした。
また大統領は七日の国際保健デーに言及して、企業が外国製機械を輸入するときは、二十四時間操業に耐えることを基本とする。公立の医療機関も二十四時間体制で従来のサービスに優るサービスを提供すべきだとして、自己宣伝を示威する看板を掲げる習慣を批判した。
いっぽうアレンカル副大統領は、労働法改正について討議するブラジリアの労裁フォーラムで大統領のメッセージとは対照的に「事態は手放しで喜べるような状態ではない」と述べた。まだブラジル経済の基礎は脆く、基盤強化のために所得の再分配と雇用の創出が急務の課題だと披瀝した。
ブラジル経済が確実に発展するためには、輸出振興と同時に消費者の購買力増強と国内市場の拡張に力を入れることを強調した。所得の分配が購買力増加にかかり、国内市場の拡大が輸出を振興させる。輸出振興は為替を有利に導き、基本金利の引き下げと産業興隆にもつながると述べた。
さらに副大統領は、労働者が解雇を恐れるあまり消費を縮小し、潜在的インフレで給与が月々目減りしている悪循環の事実を指摘した。この悪循環を断ち切る解決策は、旧態依然の現行労働法改正と労組が自己の利害よりも国家の発展を優先することだと訴えた。