4月11日(金)
ブラジルから日本国内に麻薬を持ち込もうとして摘発されるブラジル人が増加している。大麻については二〇〇二年に米国、オランダなどに次ぐ四番目の摘発件数を記録。また、〇一年のコカイン押収量では、二六%を占めたペルーに続く
一六%となっている。財務省関税課では、南米の国際犯罪組織が麻薬を高額で取引できる欧州や日本を新たな市場として視野に入れていることが背景にあると分析。今後も「運び屋」として摘発されるブラジル人が増加すると見られる。
〇二年十月二十二日、スイス経由でリオデジャネイロから成田空港に到着した無職のブラジル人男性(二二)が、末端価格二億九千万円のコカインを携行したパラグライダー内に隠して密輸。税関検査で発見され、千葉県警などに現行犯逮捕された。「知人のブラジル人から一万ドルの成功報酬で依頼された」と供述していた。
世界に流通する約八割がコロンビアで精製されるコカインは、米国での取り締まり強化の影響もあり南米の犯罪組織が欧州や日本に市場を変更。日本でも近年、密輸入や乱用が増加している。
〇一年の摘発件数は件数が前年より五八%多い七件、押収量は二六六%上回る十八キロとなっている。内訳はペルーが全体の二五・五%となる四・五キロで一位。ブラジルは三・三キロで一六%と、二番目の不名誉な結果を残している。
〇一年七月二十日、岐阜県内に在住する無職のブラジル人女性(二二)は、ブラジルから成田空港に入国の際、土産に模したコーヒー内に末端価格で約九千万円となる大麻草を混入。現行犯逮捕された。
缶ビールを偽装したり、段ボール箱の側面を二重にして混入したりと年々巧妙化する大麻の密輸については、フィリピンやタイなどのアジアルート、ナイジェリアや南アフリカなどのアフリカルート、オランダなどの欧州ルートが主流だが、ブラジルからも年々増加している。
財務省によると、九九年には二件だったブラジルからの摘発件数も〇〇年は七件、〇一年は十件、〇二年には過去最多の十五件を記録。
〇二年に限定してみれば、四十件の米国、三十四件のオランダ、二十六件のタイに続く十五件でブラジルが四番目となっている。
今年一月二十九日、日本在住の無職の日系ブラジル人男性(二三)がブラジルから末端価格一億二千万円のMDMAを持ち込み、現行犯逮捕。二重工作したキャリーバッグ内に隠し持っていた
また、覚せい剤と同じ興奮作用を持ち、若者らを中心に乱用が広がるMDMA(通称エクスタシー)も〇二年には過去最多の押収量を記録。前年比一四六%となる十七万二千錠を押収、摘発件数も八〇%増の三十五件だった。