4月16日(水)
【エポカ誌】ルーラ政権百日間の総決算が行われている。金融政策は先ず及第のようだが、ブラジルの経済成長に向けて何をするのか不透明で、まだ謎だ。初仕事として議会へ上程した金融法修正案は、ジョゼ・セーラ元上議の原案丸写し。同案の表決に先立ち可決の妨げとなったのは、野党ではなく大統領腹心の与党から起こった。
金融法修正案が可決された日、金融市場は沸いた。
往年のPT支持者やPTの伝統的票田の人々は、このあり様を見て失望した。ジェノイノPT党首は公務員労組から〃ごますり野郎〃と呼ばれ、PT過激派は執行部と正面衝突し、PTの長老的有識者から批判の大合唱が始まった。「ルーラはFHCの焼き直しに過ぎない。ルーラがPTの何たるかを示威しないなら、政権は茶番劇だ」というもの。 パロッチ財務相の予算削減によるマラン路線の踏襲と二回にわたる金利の引き上げは、国際通貨基金(IMF)からベタ褒めをされたが、PT支持者のひんしゅくをかった。
公約の社会福祉政策では「夢見てきた偉大な事業は実現できない。次の二十年計画のために土台を造るだけだ」と大統領がいい出した。財務相は思い切った緊縮経済を打ち出したが、肝腎の一千万人の雇用が実現するかが、ルーラ政治の評価になるとみられる。
カバージョ亜国元蔵相はルーラ政権とデラ・ルア大統領の出現は、弱小左翼政党の連立であったことで、よく似ているという。双方とも在来手法で、財政赤字を削減した。市場は金利の引き下げに応じないことで、ルーラ大統領も亜国の同じ轍を踏んでいると、同元蔵相は述べた。
連立与党のフレイレ下議(PPS党首)は、プロジェクトが前政権の丸写しではPTの経済戦略が分からないし、経済政策の下絵が見えないといっている。
例えば年金改革だが、前政権ではPTは反対の立場をとり改革を妨害してきた。政権を取得して初めて、国家経済が社会保障院の累積赤字で破綻の道を突進していることが分かったのか。PTは、一体何だったのかが問われている。
大統領は三月、経済開発審議会の席で並み居る企業家代表を前に、冷や汗をかく思いで「かつては野党であり、為政の責任がないから大言壮語もしてきた。いま我々は政策責任者なのだ」と告白した。マックス・ウエバーがいう二枚舌を使う厚顔無恥の政治家が、政権を取ったのだ。
厚顔無恥といっても、信念の倫理と責任の倫理がある。野党時代は、信念の倫理だけで用が足りた。PTの場合、二十二年間にわたり単なる反対運動だけ展開して、中間派も過激派も同居してきたのだ。大統領選の間は「愛と平和」の旗印の陰で矛盾をごまかした。都合の悪いことは、選挙参謀のドゥッダ・メンドンサ氏が丸めてくれた。