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州議会をむしばむ悪の手=ES州はロシアモデル=資金洗浄の徹底監視を

4月16日(水)

 【イスト・エイ誌】長い年月をかけてエスピリト・サント州議会に忍び寄り根を張った犯罪組織を向こうに回し、果敢に挑戦する法務や警察関係者、その他協力者の生命は常に危険にさらされている。いまや一瞬の油断が死につながる。
 違法取引の障害除去のためには政府要人も虫けら同様に扱う組織の顔役が放つ殺し屋の標的となり、犯罪組織の捜査に当たる中心的係官は四六時中、神経をとがらせている。
 その一人がアレシャンドレ・C・カストロ判事で、使命遂行のため凶弾に倒れた。この暗殺事件は、同州の犯罪組織を捜査していた多くの関係者に死の恐怖を現実のものとした。暗殺者は、殺人リストを持っているはずだ。
 同州の犯罪組織は、冷戦終焉直後に発生したロシア・マフィアをモデルに取り入れられた。一九九一年ごろロシア政府は改革途上で混乱し、マフィアは巧妙に政府組織へ侵入し政府高官と癒着した。ロシア・マフィアに抵抗して暗殺された新生ロシアの政治家や事業家は、数知れない。
 捜査関係者の護衛はこれまでより一層強化され、電話連絡は一切禁じられ一部の知人にのみコード連絡の方法が取られた。関係者外出の際、同行の護衛者は一秒たりとも気の休まることはなく、行き違う全ての車に乗っている人物もチェックした。また関係者はレストランやバール、市中のどこであろうと立ち寄ることを禁じられた。 
 関係者は、鉄格子のない牢獄に閉じ込められたような生活を強いられた。関係者に用事があって話しかけるときは、護衛が手を頭に置くように命令するなど、ブラジル版コロンビアの舞台が繰り広げられた。
 バストス法相は、二判事の殺害事件により事態は想像以上に深刻であると考えている。法相の双肩にかかってきた問題は、ベイラ=マールの隔離、リオ市への陸軍派遣、凶悪犯を収容する連邦刑務所管理、連邦警察の機動力強化、迷宮入り事件の七〇%増加がある。
 法相は、殺害事件二件の究極的解決法は、不正資金洗浄の取り締まり徹底とみている。エスピリト・サント州の場合は、道路警察の元中佐逮捕により犯罪の実体が大部分解明。同州のマネー・ロンダリング・システムが、全国十八州で用いられていると法相はにらんでいる。法相は、海外に不正送金された資金の国内への奪還も考えている。