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商工会議所昼食会=オリベイラ大使が講演=イラク復興に伯企業参入も

4月16日(水)

 十四日正午からブラジル日本商工会議所(田中信会頭)の定例昼食会が行われ、外務省サンパウロ出張所のジャデイエル・フェレイラ・デ・オリベイラ大使が「国際情勢の現状と今後」と題する講演をした。同大使は日本を含め、極東アジア地域に十二年間赴任したアジア情勢の専門家もある。
 「我々の出張所は外務省の窓口みたいなもので、各国の領事館が働きやすくなるように手伝うところ」と現在の仕事を説明。例として「今朝、中国領事館から電話があって、『国際空港で館関係者の携帯電話五台が差し止めになって困っている』というので、さっそく急行し、問題を解決してきた」という。
 ブラジルが抱える根本的問題、治安、教育、飢餓は解決には長い時間が必要。加えて官僚組織はブロクラシア(お役所仕事)が横行しすぎていると率直に分析する。「ベトナムよりこちらの方が酷い。シンガポールはここよりはるかによかった」と舌鋒鋭い。ブラジルの行政改革は「ベレンとブラジリアを自転車で行くような長い道のり」だと比喩した。
 外国から投資を集めるにはブロクロシアを解決し、世界の商習慣を知らなければ、とする。「昔FHC大統領は〃ブラジルは世界の百姓〃と言って物議をかもしたことがあるが、その通り。井の中の蛙は外に出て初めて世界を知る。問題を認めて直視することから全て始まる」。
 ブラジルの良い点としては、宗教紛争がない点を挙げた。「百五十万人のイスラム教徒がいるが問題は起きてない。たくさんのイスラム学校があるが、そのかなりは校長にカトリックがなっている。それが許されるのがブラジルだ。イラク戦争反対デモがあっても、イスラムとカトリックが肩を組んで行進する」と誉める。
 「もし、我々は税制改革、年金・社会保障制度改革を実行できれば、遠くないうちにチリのような国になれる」と潜在的可能性を訴える。「ブラジルは小型の国連のような国。国内には色々な人種がおり、相手がアジアでもアフリカでも問題ない。国としてきちんとすれば、それだけで一流国になれる」と豪語した。
 質疑応答では「イラクの復興にはブラジル政府も名乗りをあげているが、ブラジル企業はどうなのか」という質問に対し、「英米中心でなく、国連中心であることが大前提。事実、戦争前にイラクの道路や橋を作ったのはブラジル企業だった」とし、可能性を仄めかせるに留まった。