4月18日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙】リオデジャネイロ州のキンタ・ダ・ボア・ヴィスタ国立博物館は、世界的に重要なブラジルの古生物学や先住民美術、エジプト美術の資料やコレクションを集めた博物館である。しかし、予算不足や博物館ビルの修復工事の遅れなどの緊急問題で、同博物館のコンディションが悪化しており、閉館の危機にさらされている。古生物学者のセルジオ・アゼヴェード館長は、「長くても二、三年しか持たない。早く手を打たなければ」と訴えている。
博物館ビルはかつて、皇帝が住んでいた由緒ある建築物で、博物館自体が歴史重要文化財だ。館内には皇帝時代の所蔵品もある。だが館内の展示室の多くに雨水などが浸透しており、庭園も完全に放置されたまま。一九九八年に始まった修復工事は終了の見込みなし。ビルが崩壊しないよう、屋根のかわらは新しいものに取り替えられたが、あちこちで壁がはがれ落ちている。博物館各棟の修復費は二百二十万レアルに見積もられている。
アゼヴェード館長によると、博物館修復費として千九百万レアルが同博物館に回される計画があり、文化省と教育省がそれぞれ四百五十万レアルを出す予定だが、各省ともに「そのような計画は全く聞いていない」と知らんふり。スポンサーのリオデジャネイロ連邦総合大学も支払っていない。「唯一約束を守ったのは、もう片方のスポンサーのペトロブラスだけだった」と嘆く。
また国の重要文化財を管理する国立歴史・美術遺産院(Iphan)は、「博物館ビルを修復するなら、建築当時(十八世紀)の素材を使用すること」と条件を付けている。アゼヴェード館長は、「今では見つからない木材で建造された部分もある」と悲鳴を上げている。