4月18日(金)
十六日、モジ・ダス・クルーゼス市セザール・デ・ソウザ区サンタ・カタリーナ街道にあるシチオで、一人暮らしの主婦高橋久子さん(七七)が血まみれになって倒れているのを娘の美智代さん(四一)が発見。軍警に通報したが、高橋さんは頭を銃で撃たれており、すでに死亡していた。自宅内に荒らされた形跡があることから、市警などは強盗殺人事件と見て捜査を開始した。また、今月に入ってから日系人の住むシチオを強盗事件が相次いでいることから、同一犯の疑いもあるとして関連を調べている。
捜査当局によると、同市内に離れて住んでいる娘の美智子さんは十六日、高橋さんのシチオを訪れた時、自宅内は家具の引き出しが開けたままになり荒らされた状態だった。驚いた美智代さんは高橋さんを探したが、高橋さんは自宅一室で頭を銃で撃たれて倒れていたという。
遺体は法医学研究所で司法解剖された後、十六日午後にサンサルヴァドール墓地に埋葬された。
また、高橋さんの家族らは安部順二市長に対し、治安回復のための会合を求めている。
殺害された高橋さんの近くに住むヒサキ・ジェラウド・マラキアスさんは長年一家と親交があった。ヒサキさんは生前の高橋さんについて「物静かな人だったが、身なりはきれいだった」と話す。また、この地区でも馬や農作業器具が盗まれる事件が多発していたという。
同市内では五日に老夫妻を狙った強盗殺人、十一日には農業を営む男性が強盗に合うなど半月で三件の日系人の被害が相次いでいる。老夫妻の強盗殺人について、殺人捜査課では事件発生の数日前に「飲み水が欲しい」と夫妻宅を訪れた二人組が容疑者ではないか、と見て行方を追っている。
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シチオに住む年老いた日系人を狙う卑劣な犯行は、同市郊外の農業経営者らを恐怖に陥れている。
シチオの門に鎖や頑強な鍵を設置したり、番犬を用意したりする人も増えている。また、徒歩はもちろん車でさえも外出を控えるようになってきている。
モジ・ダス・クルーゼス文協では、来月十二日の定例理事会で市内十四地区の代表らと治安問題の改善について具体的な対策を講じる予定だ。ワタナベ・サトル理事長は「皆がこの問題について心配しているので、早く対策を考えたい」と話している。
また、一連の事件について同一犯では、との見方を示すのは、軍警のアリ・カミヤマ中尉だ。殺害された浅野夫妻も高橋さんもデカセギ中の子どもを抱えていたことや、老人だけで暮らしていたなどの共通項があることから、カミヤマ中尉は「犯人はデカセギで送金された金を貯め込んでいると考えたのでは」と指摘する。
事態を重く見た軍警司令官は十七日午前に同市ピンドラーマ区で住民らと話し合いを持つなど治安改善に向け動き出している。
問題解決にはコミュニティーの協力が欠かせないというカミヤマ中尉は「範囲が広いだけに警察のパトロールにも限界がある。老人だけで住まないよう呼び掛けたり、隣人と密な連絡を取るように注意している」と話している。