4月23日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十二日】ミナス州オウロ・プレット市で開催されたチラデンテス記念式典に臨席したルーラ大統領は二十一日、金融経済は虚の経済で実体経済を反映するものではないと警告した。過去十年金融経済と実体経済は車の両輪のように思われたが、金融市場の好調で全てが快方へ向かうわけではなく、国家経済は火の車であると一連の改革に反対する勢力に注意を喚起した。
大統領は五千人の参列者を前に、金融関係者が要求する金融市場の完全開放は経済の全ての病をいやすという資本主義理論への迎合だと、連立与党内から批判が出ていると語った。
世界には金融経済だけで国家経済を潤している国もあるが、ブラジルは過去十年の結果から同理論が結実しなかったと、大統領は述べた。金融経済は実体経済の受け皿として歯止めにはなるが、経済発展の差し水に過ぎないという。国民の生きる権利は、株の売買に託される金融市場原理のもとに左右される性質のものではないとも表明した。
これはPTが野党から与党に成り従来の路線を踏襲したことで、党内から新自由主義と批判する左派や労組、公務員団体などへの反論とも取られている。路線変更は、社会的支持層への離別も意味した。
大統領は党内反主流派の批判をよそに海外信用を重視し、輸出の増強と国内金融資産の増大優先を強調した。国庫は旧債務の金利決済のために借金を積み重ね、海外債務の決済をするので中毒的依存症状が、やがて国家経済を呼吸困難にし死に体化させると訴えた。
また大統領は年金と税制改革なくして国家経済の発展はないと明言した。改革は全国民の意見を取り入れることが本質であり、四月三十日に国会へ上程するという。大統領自ら州知事らと共に開票に立ち会い、国民の代表は賛成票を投じると信じると語った。
いっぽうネーヴェス・ミナス州知事も、一連の改革は政治革命であると絶賛した。チラデンテスの日は、国家救済の理念を定めた由緒ある日と、大統領は位置付けした。グローバル化の爪痕である世界的な貧富の格差に無気力な服従ではなく活気溢れる創造力を挿入すると誓い、前大統領のお株を奪ったような体だ。
メルコスルの域内結束が不十分でも国際統合への参加はあり得るように、米州自由貿易地域(FTAA)への統合も同じと考えていると大統領は述べた。すでにアンデス共同体やアフリカ諸国、中国、インドなどとも交渉中だが全て対等な立場で、どちらの主導的立場も認めないとした。
世界のグローバル化について国民の生活に立脚したシステムなら支持するが、富の分配を忘れ労働者から職を奪った一局集中の覇権主義と中東を席巻している攘夷主義とは一線を画すと、大統領は述べた。