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もう一つの戦争で殉職=テロ応戦の軍警ら=訓練も受けず銃撃戦へ=700R$で命と引き換え

4月23日(水)

 【イスト・エー誌】リオデジャネイロ市では二〇〇二年に、イラク戦争で戦死した米兵より多数の軍警が殉職している。またサンパウロ市ではバンデイランテ州政庁前で報道陣のカメラを前に、一軍警が自分らの生命が過小評価されていると「死の抗議」を決行した。それにも関わらず犯罪組織のテロ攻勢は、今日も続いている。

 海軍の退役士官カルバーリョ氏の長男サミールさん(二三)は結婚式を間近に控え指折り数えていた矢先の九日未明、リオ市のテロ鎮圧に出陣中、同僚のアフォンソ伍長とともに凶弾に倒れた。
 リオ市では、月給七百レアルで新規採用される軍警らが、射撃訓練もしないうちに市街の麻薬組織との射撃戦に駆り出されるとサミールさんは生前話していた。これでは七百レアルで召集された人間の盾だと、遺族は訴えた。応戦してくる組織の方が、射撃の腕前ははるかに勝り、また高性能の武器を持っているという。
 軍警組合のバンデイラ会長は、次のように述べた。サンパウロ市やリオ市では、ほとんどの軍警が薄給を補うため副業を持っている。仕事は様々だが、丸腰は変わらない。リオ市で今年三月までに殺害された軍警四十人のうち二十四人は、副業の職場で死亡した。
 リオ市の軍警三万三千人の四〇%と市警の一万一千人の二〇%は、犯罪組織の縄張りとされる危険な区域に居住する。また軍警の多くは薄給生活のためスラム街のバラックに住み、麻薬密売者と隣り合わせだ。
 いくら連邦政府や州政府が軍警の装備向上のため高性能の武器とパトカーを購入しても、給料で一家が養えないなら危険と知りつつ副業にいそしむか、犯罪組織の片棒を担いで身の安全を守るしかないと嘆く。
 サンパウロ州の軍警と市警は合わせて十八万三千人、リオ州は四万四千五百人だ。殉職者といえばリオの方が多いと思われるが、サンパウロ州での殉職者は一九九〇年よりこれまで千八百四十人だ。
 最近リオ市の麻薬組織が抱える私兵は、平均十二歳と低年齢化した。法律では未成年であり、持っている銃器類も高性能化している。それに罪意識も希薄で恐ろしい。コマンド・ヴェルメーリョ(CV)がライバルの幹部を殺害してから、組織の構造改革が行われた。
 殉職者遺族会のサントス会長は「二十年前は夫がスラム街へ到着すると、麻薬密売者は一斉に丘の奥へ退避したが今は反対」という。犯罪グループに追われ、軍警が逃げ回る始末だと嘆いた。
 リオの犯罪組織総司令部は、相変わらずバングー刑務所だ。ベイラ=マールはアラゴアス州のマセイオに隔離され、刑務所内の携帯電話は没収され電波探知塔は拘置者の連絡を厳重にチェックしているが、総司令部は健在。刑務所に出入りする弁護士十九人が、連絡係で奔走しているからだ。