4月23日(水)
サンパウロ総領事館(赤阪清隆総領事)は、「安全対策と保険」と題した講習会を十七日午後三時から、館内三階ホールで開いた。日系企業社員を中心に約三十人が参加した。
はじめに、篠又幸市郎 (元東京海上ブラジル副社長、現シノマタ保険代理店代表) さんが、一九七二年二月十四日に起きたアンドラースビル火災のスライドを用いて、火災の恐ろしさを語った。
その時の実体験を交えながら、防災の心得を説明。心得としては、部屋にバケツ一杯の水と、厚手のタオルを置くことの二点を挙げた。火災の際には、バケツ一杯の水での初期消火と、厚手のタオルで口や鼻を押さえながらの避難を奨めた。
その後、ブラジルの保険制度を説明した。個人保険、団体保険について話しながら強制賠償責任保険、外航貨物海上保険、自動車保険について詳しく講演。特に、最近注目される医師や企業の過失などの際の補償となる、職業賠償責任保険について言及し、同保険を「大多数の保険会社はいまだ導入していない」と指摘した。
市警のフェルナンド・フォルトナント署長は、全国の拳銃被害者四万人のうち、サンパウロ州が六千人と高い割合であることを示し、その理由として以下の三点を挙げた。一点目は、一九九七年の法改正によって既定された合法銃が百五十万丁であるのに対して、非合法銃が三百万丁である点。二点目は、州内には多数の警察組織が重複してあるため、逆に捜査が難航する点。三点目は、警察官の給与が安く、アルバイトする警官が多数いる点を挙げた。
これらを踏まえ、日本の警察の事例を挙げて、警察組織の質的向上を課題とした。対策としては、日本の管轄制度の導入、警察官の待遇改善の必要性を挙げた。
会場では、実際にセミオートマチック銃やプラスチック製の銃が登場する場面もあった。