ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ガロチーニョ元リオ州知事 保安長官に就任=治安で苦肉の策へ=組織犯罪に翻弄される州=政府介入も検討

ガロチーニョ元リオ州知事 保安長官に就任=治安で苦肉の策へ=組織犯罪に翻弄される州=政府介入も検討

4月25日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】リオデジャネイロ州のロジーニャ・マテウス知事は二十三日、同州の保安長官として夫のアンソニー・ガロチーニョ元知事を任命した。キンタル前長官はリオ市警リンス本部長との確執と益々悪化する犯罪組織の挑発行為の板挟みになって疲労気味であったようだ。いっぽうリオ州の治安を憂慮する大統領府は、政府介入の是非で連日協議を行っている。

 リオ州は犯罪組織の日増しに悪化する挑発行為への対策で連邦政府と意見が衝突し、ロジーニャ現知事の政治能力とガロチーニョ元知事の政治生命もそじょうに挙げられていた。元知事は「政治家として保安長官就任は時期的に不利だが、人生にはしなければならないことが起きるもの」と、長官就任の心境を述べた。
 辞任の前長官は、古巣の下院へ戻る。新長官は就任早々、犯罪都市リオの犯罪対策に当たる。連邦政府の支援を拒んだのではないが、犯罪に対する連邦の役目と州の役目は異なるとした。州の役目にも連邦政府が介在することは、州として容認できないという。
 同長官は、犯罪組織と癒着した警官を大量に処分して綱紀粛正を図り、歴代知事の中で最も多数の警官を免職処分にしたとされる。リオに今日の混乱を持たらしたのは、ベネジッタ前知事時代に治安対策を中断したからだと憤慨した。
 犯罪都市リオの組織犯罪をガロチーニョ元知事が鎮圧するなら、次の大統領選に向けた大きな手柄になりそうだ。
 来年は、地方選挙がある。元知事のスタッフが多勢、財務局の海外への不正送金事件で検察局の取り調べを受けている。元知事自身は同事件に無関係と宣言し、容疑者は情容赦なく罰するよう呼びかけた。
 PSB党内での元知事の立場も微妙だ。単なる地方自治体の政治家に留まるか、次期大統領選に再出馬するかの賭けになりそうだ。
 いっぽう大統領府は、リオ市の治安状態とロジーニャ知事の政治能力を注視している。リオ州への連邦政府の介入は一カ月間、再々議論が交わされた。安全保障室のフェリックス将軍は、介入プランを抱え待機している。大統領は穏便な方法として、リオ側の白紙委任状を受けての介入を望んでいるようだ。 
州政府への介入は、前政権時代にアラゴアス州とエスピリト・サント州で実行された。これまで州への連邦介入が起きると、議会は法令の審議を中止した。今回リオ州へ連邦政府が介入すると、今月末上程を予定している年金改革の表決に影響することになる。
 リオ州への連邦介入を正当化する理由に、大統領府は事欠かない。リオ州の治安状態は、完全なる政府機関の敗北だとみている。諜報部から安全保障室に入っている報告によれば、二十三日リオで開催される組織犯罪対策の国防相会議の警備態勢情報が犯罪組織に筒抜けだ。犯罪組織は治安機関と腕比べのデモンストレーションを行う予定という。