4月25日(金)
「人なつっこくて、後ろをついて歩いて来るんですよ。可愛いですね」――笑顔を崩すのはパラグァイ・イグアスー移住地の星川孝さん。星川さんはドミニカ共和国で生まれたが、四歳の時に両親に連れられて日本に帰国した。ドミニカでの記憶は殆どないという。六歳の時、一九六五年十二月二十五日、両親に連れられて、イグアスー移住地に移住してきた。今、移住地に残っている旧ドミニカ移民の家族は星川家だけだ。
星川さんは農業を営んでいるが、自宅がブラジル国境から首都アスンシオンに通じる国際道路に面している(四七キロ地点)ため、地の利を利用して、母親のナミ子さんが大型トラックの運搬車を改造して店を開き、手づくりのお菓子やアイスクリーム、ヨーグルトなどを販売している。
横にNATURALという文字が大きく書かれていて、遠くからでも運転者の目を引き、ひと休みを兼ねて手づくり菓子や飲み物を楽しむ客が増えている。営業三年目で評判が定着しつつある。
星川さんは二〇〇二年十二月二十五日にアフリカ・ダチョウを六羽購入した。母親を後押しするための〃客寄せ〃のつもりだったが、飼育しているうちに、ダチョウたちに愛着を感じるようになり、増殖を目指す姿勢を固めた。
ダチョウの肉はコレステロールが低いので健康食でもあるという。日系社会青年ボランティアの第一号女性を伴侶に迎える幸運にも恵まれて、夢はばたく人生を歩み始めている。躍進する移住地にもう一つの名所が誕生した。