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日本とブラジルの経済交流=『コメルシオ・エステリオル』誌掲載、工藤章氏の寄稿文(1)=大豆、鶏肉、トウモロコシなど=02年上半期、対日輸出好調

4月29日(火)

 ブラジル銀行が発行する「コメルシオ・エステリオル」誌は、二〇〇二年十一、十二月号で「日本特集」を組んだ。同誌はこの中で、工藤章・ブラジル日本商工会議所前会頭のポルトガル語寄稿文「日本とブラジルの経済交流」を掲載している。本日から三回にわたり、邦文を転載する。(執筆は昨年十二月十一日)。

【一、日本経済の概観】

 世界経済の本格的な経済回復が遅れている中、米国は、経常赤字の拡大によるドル安、会計不信などを背景とした株価下落、情報産業不況、テロの再発やイラク攻撃に対する懸念から、なお、不透明感が続いており、欧州でも、米国をはじめとする外需の低迷による輸出の伸び率低下、設備投資の減少が影響して、欧州各国の経済政策による効果は余り現れていない。
 このような状況下、日本経済の回復は、世界経済の再生のために重要な位置付けとなっており、G8各国からも期待を寄せられている。
 日本は現在、小泉内閣の下で構造改革や輸出の増加により経済のてこ入れを図っている。具体的には、税制改革、規制緩和、民営化を推し進めており、経済特区の創設や地方分権なども試みられている。
 対外的には、日本はWTOを軸とした自由貿易を標榜してきたが、シアトル会合の失敗後は、方針を転換して、FTAもWTO体制を補完し、国際貿易の自由化に資するとして、二〇〇二年一月にシンガポールとの間で初のFTAを締結した。この日本型FTAは、貿易の自由化のみならず、サービス、知的財産権、投資等の幅広い経済協力関係を構築している点が一般のFTAよりユニークな点である。

【二、日本の貿易とブラジル】

 二〇〇一年の日本の輸出はIT関連製品の大幅な輸出減少に伴い、前年比一五・七%減の四〇五二億ドルとなり、戦後最大の落ち込み幅となった。
 国別にみると、米国一二一七億ドル(前年比一四・八%減)、EU六四七億ドル(前年比一七・六%減)、アジアNIES(韓国、台湾、香港、シンガポール)八七九億ドル(前年比二三・六%減)となったが、唯一中国だけは、三一一億ドル(二・二%)と前年に比べプラスとなった。
 一方輸入は、前年比七・九%減の三五一一億ドルとなったが、これはIT関連市場が停滞したことや原油価格の下落が影響している。
 国別にみると、米国五七五億ドル(前年比一二・三%減)、EU四四八億ドル(前年比四・七%減)、アジアNIES三七六億ドル(前年比一七・五%減)となった。しかし、中国からの輸入は、電気電子製品や繊維製品を中心に五八一億ドルと五・一%増となった。
 この結果、二〇〇一年の貿易収支は五四一億ドルの黒字となった。
 因みに、二〇〇二年の一月―十月は、輸出三四〇七億ドル、輸入二七五一億ドルとなっている。
 次に二〇〇一年の両国の貿易関係をみると、前年同様、日本はブラジルにとり、五番目の輸出相手国であり、四番目の輸入相手国である。
 輸出品目別にみると、鶏肉(一・七億ドル、三九・三%増)、大豆(一・四億ドル、三三・一%増)が注目される。また、米国の遺伝子組替えが問題となり、トウモロコシの輸出も五一〇〇万ドルと前年比二十八倍となった。
 また、アルミ合金は、節電の影響で一億ドル(三一・三%減)と減少した。鉄鉱石は前年並みの四・六億ドル。
 輸入では、ブラジルにおける情報産業部門の不振や在庫増で半導体が一・五億ドル(二三・七%減)、通信機器及び部品が一億ドル(四七・九%減)となった。その他主要品目である自動車及び部品はほぼ前年並みとなっている。二〇〇二年の一―六月の統計をみると、大豆、鶏肉、トウモロコシの対日輸出は好調であり、輸入は、三割程度の落ち込みとなっている。(つづく)

■日本とブラジルの経済交流=『コメルシオ・エステリオル』誌掲載、工藤章氏の寄稿文(1)=大豆、鶏肉、トウモロコシなど=02年上半期、対日輸出好調

■日本とブラジルの経済交流=『コメルシオ・エステリオル』誌掲載、工藤章氏の寄稿文(2)=対伯投資、01年大幅増=自動車・輸送、資源部門で