コラム　樹海

　北朝鮮の故・金日成主席には謎が多い。抗日戦争に参戦したのは事実らしいけれども「英雄」と呼んでいいものなのかどうか。朝鮮戦争を仕掛けたご本人でもある。日本でも旧社会党や有力新聞社は「あの戦争は韓国が攻撃して始まった」の説を主張し、やっと十年ほど前になって「やっぱり北朝鮮が初めに攻めたらしい」となる▼この北朝鮮が「核兵器を保有」と米国に通達した。事もあろうに、北朝鮮が進めようとしている核武装への動きを停止させようとする米中朝会議での発言である。北朝鮮が核兵器を数個所持しているかもしれないの観測はアメリカにもある。現実に持っているのか否かは不明ながら、日本としても黙っているわけにはいかない。あの国には「テポドン」もある▼仮に─である。北朝鮮が核兵器をテポドンに搭載し発射すれば日本全域は壊滅するのが軍事的な常識なのだ。近隣諸国の韓国や中国にしても、事情は五十歩百歩である。日本には、テポドンを上空で撃ち落とす高性能のミサイルはない。拉致事件、工作船による領海侵犯もある。大幹航空機爆破という国際的なテロも平然と実施する北朝鮮なのである▼「核保有」宣言は、瀬戸際外交の一端と見ることもできる。だが、核拡散防止という世界的な取り組みに違反するのは明らかだし北朝鮮の核武装を絶対に許してはならない。無論の事。核燃料棒を再処理してのプルトニューム生産も禁じるべきだ。日本としても最大の脅威と受け止めたい。　　（遯）

03/04/29