4月30日(水)
【エポカ誌】政府は「飢餓ゼロ」計画の姉妹編として、月収七百レアル以下の従業員や露店商などを対象に小口融資する「赤貧ゼロ」計画を立案した。別名はマイクロ・クレジットの信用組合だが、計画は新しいタイプのマクロ経済政策であると期待されている。伯銀と産業開発銀行(BNDES)、カイシャ・エコノミカ、ノルデステ銀行、財務省、労働省などの代表が集まり、小口金融の信用組合を設立する委員会も結成された。
この計画により、多数の低所得者への少額融資の枠組みができる予定だ。政府は、零細企業救済のために補助金制度を設ける考えはない。融資希望者は先ず口座を開設する必要がある。未登録従業員も未登録露店商も含めて、銀行への支払いに資金ショートを起こしたとき、信用組合が一時立て替えをするという。
融資金額は平均五十レアルから始まり、抵当や担保、給与明細、所得証明も不要。信用組合はクレジット・カードを各顧客に渡し、融資と返済を繰り返しながら、段々融資額が増額される。契約不履行者は、顧客リストから抹消される。
応用経済研究所によれば、消費だけで生産がない人に小口融資を行うと資金が還流して、さらに投資を呼び込むとしている。これは生産活動に低所得者が参加することで、生産は活性化し生産者の所得増につながり、さらに生産活動が多面化し、新しいチャンスを生み出して行くと考えている。
国民経済の見地から低所得者は、心配するほど金銭感覚がルーズではないという。低所得者は、物の有効利用では劣るが金銭感覚では小銭まで勘定するので、契約不履行は総額の五%位とみている。むしろ中の下で、まさかと思われるような人が危険視されている。不渡り小切手や盗難小切手を使用するのは、身なりの卑しからぬ服装の人が多いようだ。
財源は労働者保護基金(FAT)が四十億レアル、伯銀が二百四十億レアル。金利は月二%と市中銀行の貸し越し許容特別小切手より、はるかに低利。
小口金融は前政権でも行われたが、金融危機に見回れ頓挫した。ノルデステ銀行だけが、NGOやその他の団体の援助で今日も続行し、取引の六〇%が小口取引の顧客で運営している。
外国の小口金融と比較すると、ブラジルは国内総生産(GDP)の二八%に過ぎない。日本はGDPの一二八%、ドイツは一六四%とGDPよりも大量の資金が融資されている。ほかに米国が六四%、チリが八六%となっている。
産業開発銀行(BNDES)の社会担当のカストロ理事は、多数の小信用組合が生まれ取引銀行としてBNDESにつながることを期待しているという。特に農村地帯に三千程の信用組合を設立する計画。
地理統計院(IBGE)の統計によれば、営業登録をしていない自営業者が千四百万戸あり、業種は露店商、タイア修理、縫製などがある。商売は盛況で資金があれば、拡張のチャンスがあるのも少なくない。銀行では、この種の営業は融資の対象と見なさない。IBGEの計算では全国で六百万人、金額にして百十億レアルのこの種融資希望者がいると見ている。