5月1日(木)
[既報関連]去る四月二十四日付七面の「大耳小耳」欄で、邦字新聞の人探しの〃成功率〃は高い、ただしブラジル国内の場合、と書いた。同記事で、日本国内にいる人も探してほしい、と言って来た人がいることを紹介し、ほぼ一〇〇%近い確率でだめだろう、と思いながら「探してほしい人の氏名」も記事にした。わからないものだ。この人は、意外にも知られている人であり、二十八日午前「いま、ここにいる」という知らせが本紙編集局にあった。
レジストロ在住の松村マサカズさんが依頼に来社した人で、探してほしい人は、元カーザ東山ミズカミ&CIAを経営していた水上不二夫氏の子息、水上マリオさんだった。松村さんは、さきに本紙が連載した「越境する日本文化、野球」を読み、かつて野球を通じ、親しく交際があった水上不二夫、マリオさん父子のその後を知りたいと熱望するようになった。マリオさんは、日本に帰国後、東京大学に入り、野球部で活躍――松村さんはそこまで知っていた。
本紙編集局に知らせてくれた人は、ブラジル聖公会サンパウロ教区の関係者。ていねいなFAXがあった。これによれば、マリオさんは、日本に帰国後は「水上萬里夫」氏、サントス市生まれ、幼少時七年間ブラジル在住、現在六十九歳。東京大学卒業、日本長期信用銀行副頭取を経て、長銀総合研究所所長を歴任、現在無職。十八年間、長銀の頭取をつとめた杉浦敏介氏の懐刀(ふところがたな)といわれた。
東京大学のあたりまで松村さんの記憶と合う。
邦字紙の人探しは、ブラジル国内までで限界、が常識だが、水上萬里夫氏のように、〃その道〃で知られた人なら話は別だった。
(注=松村さんが置いていった電話番号は、つながりません。編集局かんだ宛て一報下さい。知らせていただいた水上氏の住所その他をお伝えします)