5月1日(木)
もうピンガと呼ばないで――。一部のブラジル人の間には低級酒とする偏見もあった、あのお酒。今後はカシャッサの呼称を定着させ、イメージの回復を目論んでいる。
タルデ紙はかつて盛んに言われた「Yes, nos temos banana」(バナナあります)をもじって、「Yes, nos exportamos cachaca」(カシャッサ輸出してます)。
前年比で三十三%増という輸出量の伸び率を背景に、同紙では「ブラジルは今、サンバ、サッカーそしてカシャッサの国」と四月二十七日付紙面で報じている。
ブラジル開発省の調べでは、日本へのカシャッサの輸出量は昨年一年間で、金額にして十一万六千三百七十一ドル。「まだそんなに関心が高い商品とはいえないが、昨年十二月に東京に行われた南米の有機食品を集めたフェアで紹介された実績もある」(サンパウロ日本貿易振興会)。
こうした流れを受け、先週末サンパウロ市内ではカサッサの国際見本市が開かれた。国内十七州から厳選された二百業者・四百銘柄の商品が展示され、各国から輸入業者が詰め掛けている。関係者の話では、今年二千万リットルの輸出が期待されているという。
もちろん輸入業者が求めるものが粗悪品であるはずはなく、「海外ではAクラスのカシャッサが出回っている」。パリの一流ブラッセリー『リッツ』ではカシャッサが人気メニューのひとつに定着している、とは前出の関係者。その一方で、「国内で消費される大半は「Dクラス」と続ける。
ブラジル国民は一日に何杯のカシャッサを飲むのか。答えは約八千万杯。蒸留酒の分野ではロシアのウォッカ、韓国の焼酎(ソジュ)に次ぐ消費量になる。
ブラジルでの生産業者は三万を数える。なかでも、市場価格で三百レアルになるという逸品を、見本市で試飲した。ミナス産『GERMANA』の十年もの。乾燥させたバナナの皮を巻いた瓶がユニークだ。ちなみにヴァリグ航空はファーストクラスでこの銘柄をサービスしている。