今日は五月一日。「メーデー」である。アメリカの労働者たちが一日に八時間だけ働くことを要求して一八八六年にゼネストを行ったのに由来する。この歴史的な闘争を受け第二インターナショナル結成大会が「労働者のデモンストレーションの日」とし一九〇〇年から国際的な記念日としたのだから、もう百年の歴史を誇る「勤労者の日」なのである▼近ごろの日本は働く人々の力が弱くなったのかメーデーの決まり文句「万国の労働者を団結せよ」も途切れがちと聞いたが、戦後のメーデーは血と涙の闘いの色彩が濃い。日本の労働運動は政治色の濃厚さにある。これの典型的なものが一九五二年に起きた皇居前広場での「メーデー事件」だった。政府が皇居前広場でのメーデーを許可しなかったのに労働者と学生らがなだれ込んだため警察と衝突し二人の死亡者を出す惨事となった事件である▼この後もメーデーは労働闘争の手法として活発になるが、最近は穏やかな空気に包まれた雰囲気らしいのは喜ばしい。今は鉢巻き姿やゲバ棒組も少なくなって子供や奥さん連れが目立つそうなのも嬉しい限りだ。無論、職場の改善や勤労条件の向上を訴える主張は大切であり力を入れべきだが、争闘から新しいものが生まれるの考え方は改める必要があろう▼さて我がブラジルはどんな風景になろうか。昨年の参加者は百七十五万人だったが、今年はルーラ大統領が誕生しているし働く人たちの意欲と情熱も盛り上がっているに違いない。あるいはデモ二百万人も夢ではあるまい。(遯)
03/05/01