5月3日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五月二日】クラウジオ・フメス枢機卿が行ったメーデーのミサに出席したルーラ大統領は一日、「健全な輸出を伸ばすために安定した為替相場を保つことが政府の責任。極度のドル安は好ましくない」と言明した。労組主催のショーつきメーデー式典は、百五十万人の聴衆を集めてサンパウロ市カンポ・デ・バガテレ広場で開催された。一方ロドリゲス農相は農業生産者と輸出関係者に、「生産者団体を結成し、ロビー活動を行うよう」勧めて、組織化の進んでいない農業界を叱責した。
恒例のメーデーのミサは、ルーラ大統領の鳴り物入りでサンベルナルド・ド・カンポ中央教会で行われた。大統領は壇上に上り、四月三十日に年金と税制改革案を国会へ上程したことで、「ブラジル史は、より輝ける時代を銘記するだろう」と演説した。
ドルが一時期五レアルに達するとうわさされたが、経済政策が的中したため二・九〇レアルとなったと述べた。これは、統一労組(CUT)のシウバ前会長との論争で主張した最低賃金百ドルも絵空事ではないことを証明した。しかし、ブラジルは輸出も奨励しなければならないと、大統領は警告した。
政府は社会福祉にも配慮しているが、現在は経済基盤の構築段階にあることを強調した。同三十日中央銀行は、十億ドルの外債を発行して大量の外貨を調達した。これをバネにして恒常的に六十億ドルの国債を売買して、ブラジルの国際信用を獲得して行く方針だという。これがブラジルのあるべき姿だと、大統領は述べた。
ルーラ大統領の誕生は、労働者階級の政治に掛ける意欲が形になったもの。これはPT党や同志らが政界へ送り出したものでなく、国民が政治責任に目覚めた証拠だという。
メーデー式典は各所で催され、最大規模は百五十万人の観衆を集めたカンポ・デ・バガテレのポップ・ショーつき集会であった。シットンジニョ・エ・ショロロやゼゼ・カマルゴ、ルシアノ、ダニエル、ファファ・デ・ベレン、ペドロ、チアゴなどのショーの合間に政治家が飛び入り演説をするプログラムであった。
一方ロドリゲス農相は一日、リベイロン・プレット市で開催されたアグリ・ショーで、ドル安により停滞している農産物の輸出について取り上げ関係者を厳しく叱責した。農業界でも、積極的にロビー活動を行うよう奨励した。
特にコーヒーとアルコール生産者の無気力ぶりを酷評した。コーヒーに至っては世界でも有数の生産力と生産量を有しながら、業界の政治的結束は無いに等しい。ブラジルのコーヒー政策不在と市場への無関心ぶりが国際市場の笑いぐさになっていると批判した。
トウモロコシが安価であれば、養豚やブロイラー業者にやがてしわ寄せが来ることは必至だ。業者は来年のことに無関心で何ら予防措置を講じることはなかった。農業生産者に健全なロビー活動が憲法で保障されている。欧米や日本に倣って生産者団体を組織し、積極的に活動するよう求めた。