ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 改革案可決に向け根回し=PSDB PFL 抱き込みへ=連立与党総出で工作=下院は308票必要

改革案可決に向け根回し=PSDB PFL 抱き込みへ=連立与党総出で工作=下院は308票必要

5月6日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】政府与党は四日、年金と税制改革案の国会表決に向けて総出で支援協力の取り付け工作を開始した。全州知事や法務関係者、市民団体代表者、労組代表者、企業代表者などの説得計画が立てられた。連立与党の二百五十二票に野党の五十六票を加え合計で三百八票以上を、可決のために得票しなければならない計算だ。

 下院では共産党のレベロ下議が、連立与党の代表として共同戦線の指揮を執っている。目標は、PMDBの七十票が流動的なため確証を得るに至らずPSDB、PFL、PPの百八十三票の中から与党に好意的な議員の票を取り込むことだ。
 同下議は年金改革が連立与党の懸案であるだけでなく、国家の急務と位置付けした。対話は議員ばかりなく広く市民代表へも呼びかけ全国レベルの改革運動に盛り上げるため、まず連立与党の州、続いてPSDB、PFL、PMDBの州を訪問する予定だ。
 改革の争点となっている部分には、説明書冊子を作成して各州や省庁に配布するとともに、インターネットでもホームページを設けて説得に当たっている。
 PSDBとPFLを地盤とするウベラーバ市で開催された肉牛品評会に出席したルーラ大統領は四日、ネーヴェス・ミナス州知事と年金と税制改革、国会通過の戦術について意見を交わした。下院での根回しに手間取っていることで、大統領は知事のアドバイスを求めた。
 大統領は上院では早期決着のめどがついたが、来年の地方選挙と下院の表決が重ならないように、下院は十月までに審議を終わらせたいと望んでいる。同席したボルンハウセンPFL党首とアゼヴェード上議(PSDB)は、年金改革で覇を競った往年の敵であったが、今回は大統領への協力を快諾した。
 PSDBとPFL党本部は、原則的に一連の改革について同意はするが、党員百三十八票の取引条件を思案中のようだ。両党は共同歩調により税制改革で大幅の変更を要求する予定だと、アレルイア下議(PFL)が記者団に述べた。
 一方サンパウロ総合大学(USP)経済学部のジルベルスタイン教授は、政府が上程した年金改革案を見ると公務員年金に注意が集中したあまり、民間人年金の今年度赤字百七十億レアルの補てん方法が欠落していると指摘した。
 公務員年金の昨年度赤字五百三十八億レアルに比較すれば、民間人の年金赤字は小さく、増加率は四・一五%と、公務員年金の累積赤字増加率一八〇%よりも少ない。しかし年々失業者や未登録従業員の増加で、社会保障院の負担金歳入は減少している。
 国内総生産(GDP)に対する年金支給率は一九八八年の二・五%から二〇〇二年は六・九%と増加した。さらに民間人の年金上限は、従来の千五百六十一レアルから二千四百レアルに引き上げられている。