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年金改革 政府の態度軟化=反対派との交渉考慮=負担金徴収対象めぐって

5月9日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】政府側はこのほど、年金改革案の中で批判が絶えない「定年退職した公務員で千五十八レアル以上の年金を受けている人を対象にした負担金の徴収」事項に対して、交渉に応じても良いという反対派との和解を目指す姿勢を初めて見せた。交渉の可能性は、ジョゼ・ジェノイーノ労働者党(PT)総裁とPT過激派グループと通じているパウロ・パイン上院議員(PT、リオ・グランデ・ド・スル州出身)との会談中に明かされた。
 ジェノイーノ総裁は七日、パイン議員の事務室を訪問した。同議員と会談中、ジェノイーノ総裁は、「ルーラ大統領が定年公務員の負担金徴収問題を年金改革案に入れたわけは、州知事らからそうするよう圧力をかけられたからだ。年金改革案がこの問題のために可決されそうにないと判断した場合、この問題を各州に任せることも考えられる」と政府側の融通が利くことを打ち明けた。
 パイン議員は会談の前に、PT過激派グループとともに、議会進行グループと公務員年金制度保護団体との会議に参加した。同議員は会議を指揮し、「政府に年金改革案の変更を強いるためには、公共の場での行動が必要だ」と諭していた。ジェノイーノ総裁との会談後、パイン議員は落ち着きを見せ、慎重な話し振りになったという。
 リカルド・ベルゾイーニ社会保障相は、負担金徴収による定年公務員への影響は意外と小さいとし、「実際に徴収額を計算すれば、定年公務員に対して最大の敬意を払った法案であることが分かるはず。今のところ変更の必要はない」と言明した。「だが政府は、重要な意見を聞かないようなごう慢な態度はとらない」と、万が一の法案変更に応じる姿勢。「ルーラ大統領いわく、『現在国会がボールをキープしているが、まだ試合は始まったばかりだ』」。
 ジェノイーノ総裁は、「パイン議員が来週ベルゾイーニ大臣と会談する」とだけ述べ、交渉がどう進められるかなどの詳細は一切話さなかった。
 パイン議員は、定年公務員の負担金徴収問題の解決策として、(1)この問題を州の担当にして連邦政府は一切関与しない、(2)大統領の給料と同じ八千八百レアル以上の年金を受けている元公務員から負担金を徴収する、の二つを挙げている。「(八千八百レアル以上の年金生活者から負担金を徴収すれば)殿様のような大金持ちが楽することはなくなる。年金千五十八レアル以上の人々に一一%の負担金を請求するよりずっとまし」と主張している。