5月10日(土)
私はトリ・カンピオン(三度目の王者)――。チェスの天才少女が、スザノ市にいる。日系四世のジュリアーナ・寺尾ちゃん(十一歳)だ。先月、ミナス・ジェライス州で開かれたブラジル全国選手権のプレ・インファンチルの部で、見事に三連覇を達成。今年十月にギリシャで開かれる世界選手権にブラジル代表として参加する。
日系二世の父、ルイさんと三世の母、エウザさんを両親に持つジュリアーナちゃんが、チェスの道に足を踏み入れたのはわずか六歳の時。チェスを愛好していたルイさんに誘われ、二歳年上の兄、ロドリゴ君が家庭内でチェスを始めたことに影響された。「お兄ちゃんがいつもお父さんと練習していたから、私も興味を持った」とジュリアーナちゃんは言う。
ブラジル全国選手権では、ロドリゴ君は九位に終わったが寺尾兄妹の活躍は、地元紙のジアーリオ・デ・スザノも大きく取り上げている。
昨年、アルゼンチンで開かれたパン・アメリカン大会でも優勝したジュリアーナちゃんは、今回のブラジル全国選手権では三連覇を目指していた。自宅で練習に励むだけでなく、週に一回は車で約三時間かかるピラシカーバ市まで指導を受けに行っている。
今年の全国選手権では、六人の対戦相手を乗り越える必要があった。監督を務めたルイさんによると、ジュリアーナちゃんはこれまで勝利を挙げたことがないパラナ州のチャンピオンを負かし、優勝をつかみ取ったという。「今まで三回対戦して一分け二敗だった。今回も厳しい試合だったが、初めて勝てた」と愛娘の活躍を手放しで喜ぶ。
チェスの魅力について「強くなれば、代表選手として他の国に旅行できるのが最高」と無垢に話すジュリアーナちゃん。すでにそのパスポートにはスペイン、アルゼンチン、ギリシャのスタンプが刻みつけられている。
今年六月にはコロンビアで開かれるパン・アメリカン大会にも出場するジュリアーナちゃん。スタンプが増えるたびに、国際舞台の経験も増えていきそうだ。