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経済成長 第1四半期マイナス=手抜きの実体経済=新政策に厳しい評価=下半期は景気回復か

5月14日(水)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十三日】ABMコンサルタントと民間銀行調査部は十二日、二〇〇三年第一・四半期の国内総生産(GDP)はゼロまたはマイナス成長になると発表した。予測では二〇〇二年の第四・四半期と比較して〇・三%増と一・四%減の間になる。景気後退の主な原因は、高金利による消費の冷え込みと投資欲の減退と指摘されている。基本金利は現在二六・五%で推移、一九九九年以来の高水準を保っている。

 昨年第四・四半期は、第三・四半期より〇・七二%増で、緩慢ながら景気回復の兆しが見えプラス基調にあった。昨年第一・四半期は悲観的状況であったため比較対象から外し、緩やかな上昇気流にあった昨年第四・四半期を大切に暖め、今年第一・四半期には一・五%から二・〇%の経済成長を、関係者は期待していた。
 公式の第一・四半期経済成長率は二十九日、地理統計院(IBGE)から発表される。しかし折角の上昇気流を放置して経済ゼロ成長にしたツケは就職前線に影響が顕著に表れている。さらにマイナス成長であれば企業に解雇旋風が吹き荒れることが予想される。
 今年初頭は金融市場の好調をよそに、国内実体経済は全く活況を欠いた。企業は融資取り付けに奔走したが、資金不足を免れなかった。関係者は、景気冷え込みの第一原因に高金利を上げている。高金利政策は国内市場の購買力を低下させ、投資意欲もそいでしまった。
 高金利に支配された国内市場は景気回復の見通しもないまま、生活物資の高騰が消費者の購買力を確実に低下させた。通貨審議会は、インフレ抑制を優先して基本金利を続騰させた。金融引き締め政策で市場は金融を弱体化させ、債務不履行も急増した。
 この四拍子、インフレ、基本金利、市場の信用低下、債務不履行が、第一・四半期の経済成長率をゼロまたはマイナス成長へ引きずり込んだ要因だ。
 地理統計院(IBGE)の発表では、工業成長は、三月に前月比三・四%減。
現政権が取った経済政策、高金利政策は工業をはじめサービス、商業など産業の各分野を直撃した。また下部構造の電話や電気部門の不振も景気冷え込みの原因となっている。
 満身創痍の国内経済を救ったのは、輸出と関係者はみている。ブラジル経済を回生させるには、インフレ政策と金利政策の見直しか、または通貨政策と金融政策の見直しという二つの政策が考えられている。
 一方全国工業連盟(CNI)は、一般工業労働者の給与が六カ月連続で前月比で目減りしていると報告した。最後にアップしたのは、昨年九月の〇・〇三%であった。今年三月の給与は前月比一・四三%減、昨年同月比で七・七四%減と報告している。
 企業家側は今年下半期へ景気回復の望みをかけて、従業員の解雇を避けている。だからといってインフレの目減りによる給与の調整は、行っていない。第一・四半期の景気冷え込みは、給与調整でカバーし求人は少ないようだ。