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大統領、司法改革に挑戦=法曹界を辛らつ批評=「義賊ランピオン」を引用

5月14日(水)

 【ベージャ誌】ブラジルの歴代大統領の中で司法府を、かくも辛らつに批評したのはルーラ大統領が初めてだ。「法が守られるために、司法は適切に対処していない。法の下に全国民は平等というが、ある人は他より優遇される。現行法は特権階級の権利を守り、これを優遇する。三十コントのカネを持っていれば、何をしても刑務所に入ることはない」という発言は、原稿にはなく大統領の即興であった。これは、義賊ランピオンの有名な台詞だ。

 東北伯地方の処世訓を現代流に表現し、大統領はさらに「この言葉は、今日も生きている」と追加した。
大統領は金持ちと貧乏人が裁判に訴えた場合、不公平な判決が下ることをいったようだが、実例については触れなかった。
 金持ちは資金力にものをいわせ優秀な弁護士を雇うか裁判官を買収することができる。しかし、貧乏人にはできない。法務関係者には不快だが、司法府が正義の味方であるためにと司法府への外部介入を、大統領は示唆した。
 司法府には改善の余地があると、大統領はいう。まず鈍い。手続きが複雑で溺れんばかりの書類の山に埋もれているとやゆした。隣の女房にちょっかいを出したとかの下らない裁判から、最高裁で争うものまで領域は計り知れない。そして貧乏人は、えん罪でも刑務所に入る。 
 大統領は、裁判官がこの辺の問題について認識不足か察知するのが遅れていると指摘した。だからといって抜本的な司法制度改革を考えているわけではないし、三権分立の精神は尊重するとした。司法府への外部介入とは、政治が開かれているように裁判官の経費、私生活、公生活がガラス張りに開かれた司法であるべきと説明した。
労裁元判事の汚職やペルナンブコ州地方裁の裁判長解任、高等裁判事の人身保護令売買に関する事件が暴かれて法務関係者の実態が、白日の下にさらされた。  裁判官と犯罪組織との関係が、どうなっているのか疑わざるを得ない。裁判官の監視機関の設置案が出ている。監督の監督をつかさどる機関の監督官の人選基準で、壁にぶつかった。飯炊きのために飯炊きを雇うような財源も、契約制度もないと大統領は述懐した。
 また大統領や多くの国民が希望する簡略裁判、即断即決への司法システムもルールもない。裁判に未熟な裁判官は、時間を無制限に浪費し長引くのは当然のように悠長でわいろの誘惑や組織の脅迫に弱いことを、大統領は指摘した。
 ブラジルの刑法は一九四一年に制定され、時代に沿わない非能率的で非現実的部分が多い。刑法の改正は、十年前から議論されているが一向に進まない。大統領は一般国民が分かりやすい言語を話すので、大衆向けには説得力がある。しかし司法府や立法府について語るとき、俗語は禁句だ。  司法制度の改革で最もネックになるのは、不罰特権制度と協調馴れ合い主義だ。国会議員の不罰特権は世界でも類例がないほど寛容で、国民の懐疑心と司法不信の原因だ。上は国会議員の犯罪から下は子供の落書きまで、司法府がこれらの問題を解決するには全司法府の総改革が必要で、何人かの判事を更迭しても解決しないことは誰もが知っている。