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中銀独立に道開かれる=金融修正法を可決=改革第一弾難なくクリア=信用組合の設立も

5月17日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】連邦下院は十五日、連邦令百九十二条金融法修正案(PEC53)を二次採決に付し、賛成三百六十八票、反対十三票で可決した。同金融法修正案は多数の条項からなり、これをもって国内の金融システムを改革することが正式に許されることとなった。また金融行政に関して中央銀行の独立性を強める草案の作成に向けた政府の手続きも始められる。大統領の署名を経て来週、公布される。

 金融法修正案の可決をもって、ルーラ大統領は中銀独立の具体案を議会へ提出する。中銀理事の固定任期については党内および連立党にも広く意見を求めることを約束した。反主流派の説得に時間がかかることが予想される。
 中銀独立の草案作成で大統領府は、パロッシ財務相とメイレーレス中銀総裁を招きセミナリーを開催し、党員の質疑応答を求めることを計画している。上程は、来年に持ち込まれるものと予想される。
 金融法修正案の可決は喧噪(けんそう)の一次とは打って変わり、二次表決はすんなりと行われた。開票結果は一次と同様に、野党の援軍で救われた。可決に必要な三百八票のうち、連立与党は新しく連立に加わったPMDBを入れても二百七十九票に過ぎなかった。野党のPFLから五十票、PSDBから三十九票の賛成票が入り助けられた。
 与党議員の造反は予想外に少なかったが、連立与党全体の議員では四十三人が欠席。内訳はPTが十四人、PTBが十一人、PLが九人、PSBが五人、PPSが三人、PDTが一人。これまでの政権で連邦令修正案を、圧倒的多数で可決をした政権はなかった。
 表決された金融法修正案の主な内容は、連邦令百九十二条にある中銀の貸出金利は年一二%を上限とする規定など十三項目を無効にするというもの。小口金融を業務とする信用組合の設置などを含む金融システムの改正は法案修正案の細則に従うなど。
 また金融政策で中銀が独自の判断をする権限を、どこまで付与するかの独立性を定める。金融規定をケース・バイ・ケースで細分化する。具体的施策を法令化し、金融経済の時代とIT革命の到来にふさわしい制度へ改正する。 
 ブラジルの中央銀行は、主要国の中で最も独立性が低いといわれている。今回の連邦令修正案が野党の協力を得て下院を通過したことで、「本丸」とされる次の年金制度・税制改革にも弾みがつくものと、政府関係者は期待している。