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文協 新トップ6人に聞く=改革インタビュー(4)=和田忠義(71)第2副会長/日本文化の普及と保存=「一世たちが残してくれた『正直』『相互扶助』といった美点を次世代に残していくのが、我々の使命」

5月17日(土)

 「日本文化を残すということは、『精神』を残すということ。それを私たちが次世代に『民族の誇り』として残していければ最高ですね」
 『日本文化の普及と保存』という文協の根幹ともいえる任務を負った第二副会長の話す日本観は非常に情熱的だ。だが一見おだやかで冷静に見えるのはその人生を、エンジニアとして送ってきたがゆえだろうか。
 和田忠義氏は一九三二年ノーヴァ・アリアンサ移住地で、後に県連会長も務めた和田周一郎氏の四男として誕生している。
 ミランドポリスの小学校を卒業後、出聖してマッケンジー大学で土木、電気を学んでいる。その際アルモニア学生寮の第一期生として同寮に寄宿し、渡部和夫氏、山内淳元文協会長たちとは「同じ釜のメシを食った」仲間だ。
 大学在学中にはフォード社で研修生、卒業後はジェネラル・モータース社に入社している。その後はLIGHT(現在はエレトロパウロ)のエンジニアとして活躍し、九五年に定年退職している。
 まさにエンジニア一筋の技術畑を歩いてきた和田氏だが、アルモニア学生寮の会長を現在まで十二年務めるなど、教育に対しては常に関心を向けてきた。
 日本語、日本文化継承の対象を日系コミュニティーだけにおかず、ブラジル人にもー、と話す和田氏によると「アルモニア学生会の理事会は十五年前には、一世から二世に代替わりを行った。アルモニア教育センターで日系子弟が占める割合は生徒の約三割」と説明する。
 伝えるべきものは「『能』や『生け花』などの目に見えるものではなく、あくまで精神論」と強調するが、それはやはり普段の教育の中で伝達されるもの、という持論も持っている。
 「七人いる兄弟全員が日系コロニアのために何か活動している。それは父親が残してくれた文化ですよ」と和田忠義氏は語る。
 例を挙げれば、六男の周八郎氏は「ブラジルと日系一世のため」とアチバイア総合病院を創立し、地元住民の厚い信頼を得ている。
 「文化を伝えることは人間を作ること。私たちは日系、非日系に限らず、日本の素晴らしい部分を伝え、ブラジルに残していきたい」とその思いを語る。
 「私たちの親の世代、一世たちが残してくれた『正直』『相互扶助』といった美点を次世代に残していくのが、我々の使命」と熱く語る和田氏。
 しかし、「文協にある小委員会の活動などについては、まだまだ不勉強」と頭を掻くが、これから積極的に様々な意見を多角的に聞きながら、文協の活動を通して、日本文化普及活動を広く行なっていく考えだ。    (堀江剛史記者)

■文協 新トップ6人に聞く=改革インタビュー(1)=伝田英二(66)第4副会長・管理及び財務担当=「それが文協のためになるのならば、過去をほじくりだす事も辞さない」

■文協 新トップ6人に聞く=改革インタビュー(2)=樋口トモコ 第五副会長/文協会員との連絡及び会員拡充担当=「会員拡充には、もっと宣伝が必要。マーケティング専門家を入れる話もしてます」

■文協 新トップ6人に聞く=改革インタビュー(3)=吉岡黎明(67)第一副会長/公的機関及び官憲との連絡担当=「『日系コミュニティーは日系人に何をしてくれるんだ?』という問いに答えていきたい」

■文協 新トップ6人に聞く=改革インタビュー(4)=和田忠義(71)第2副会長/日本文化の普及と保存=「一世たちが残してくれた『正直』『相互扶助』といった美点を次世代に残していくのが、我々の使命」

■文協 新トップ6人に聞く=改革インタビュー(5)=松尾治(65)第三副会長/日系諸団体との連絡担当 =「会話を通じて地方団体とも関係を作り、共には百周年を盛り上げていきたい」

■文協 新トップ6人に聞く=改革インタビュー(6)最終回=上原幸啓(75)=会長=「若者が恋人を連れて来たいと思えるような場所が、これからのコロニアには必要」