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コラム 樹海


 津軽といえばリンゴだし冬の鱈汁が美味い。地元の人によると胃の腑から身体を暖める名物の鱈汁は「雑把汁」と呼ぶらしい。大根や野菜もながら鱈の白子も真っ白い切り身も大きな鍋いっぱいに入ったのを食べるときの満足さ。それに近ごろは山内丸山の遺跡が見つかり縄文文化の見直しが始まった。食もだが古代から文化を誇るお国柄である▼相撲も強く名力士も多い。太宰治、棟方志功など文学や美術で著名な人もいっぱいいる。そんな「北の国」の県知事さんが「辞職願い」を出し、受け取った県議会が全会一致で承認したそうだ。木村守男さんという知事さんが、さる女性とセクハラ不倫をしたらしい。怒った県議団が不信任案を提出し可決されそうになったので打ったのが「辞職」の一手らしいけれども、文化の国としてはお粗末過ぎる▼最近は知事と議会の対立も決して珍しくはない。長野と徳島県でも知事不信任案が可決させている。けれども、この二つの県は県政・政策を巡る意見の違いであって―正々堂々たる闘いなのだ。さる女性とのあやしげな関係を指摘される津軽の県知事さんとは、この一点で性格がまったく異なる。哀しきことながら、もう日本は「不倫」も許されい時代なのだ▼辞職した木村守男前知事も「不倫の事実」は認めている。但し。「セクハラはなかった」と付け加えているのは蛇足の感じがしないでもないが、金銭上の疑惑も持ち上がっているようだし県知事辞職で打ち止めにしないで本来ならば「政界引退」が筋ではあるまいか。   (遯)

03/05/17