5月20日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】国会議員と法律学者、弁護士らは十七日、一万二千五百人の判事を擁し二百五十万件の訴訟審理を行う司法府に対し、その不透明性と旧態依然とした体制に抗議した。すでに議会で十三年間、司法改革が叫ばれながら空転してきたことで、議員らが改革を強く求めた。ルーラ大統領が司法府への外部介入に触れて、司法府関係者は司法制度の非を認めたが、外部介入は拒否している。
訴訟審理の手続きは、書類に起訴のスタンプが押されるまでには公報から始まり、呼び出し、確認、通知の順序を踏む。そのころ犯人は、いずこかへ姿をくらまし打つべき手を打っている。場合によっては時効にもなる。破格の高給を取り年二カ月の有給休暇をとって外国旅行を楽しむ裁判官のいつ果てるとも知れない作業は、それから始まる。
被害者の権利は考慮されず損害は一顧だにされないと、高等労働裁のレアル長官自身が述懐した。ルーラ大統領は、ブラジルの司法制度は時代遅れ、司法府は改革には無気力、幾世紀にもわたる慣例に呪縛(じゅばく)されていると酷評した。司法府には介入を執ように固辞する慣例があるため、大統領は司法府を聖域と呼んだ。
ノースフレット最高裁判事は、最高裁はポルトガル王室の支配した帝政時代の慣例がまだ通用していると述べた。変わったのは、羽根のペンを使わなくなったことだけと皮肉った。判事の七二%は司法制度に不満を抱き、五〇%は裁判の遅滞に疑問を持っている。
二〇〇〇年からの訴訟数は連邦と州を合わせ累計三千六百五十万件。一日平均三万件だから判決に至ることはまれで、ほとんど保留になる。債権の取り立てから家賃滞納の借家人立ち退きまでの告訴が、裁判で決着がつくのは極めて少数ということになる。
州高等裁の判事は、一週間に十二、三件しか判決を下さない。判決を待つ人の列は日増しに増え、「裁判は時間がかかるが、正しく裁く」と信じながら思いを果たさずに人生を終える人が多い。
現今の司法制度は債務不履行に甘いから「借金は、踏み倒したほうが得」という考えは定説にすらなっている。統計によれば裁判所が判決を下す取扱総額は、国内総生産(GDP)の二%から三%、残りは不透明なのだ。
判事の給料は三万レアルを最高として、五年ごとの調整があり公務員の中でも最高レベルとされている。有給休暇は判事、検事、検察、国会議員が、年二カ月。しかし、判事は外部の圧力とえこひいきへの誘惑と戦う孤独な職業という擁護論も多い。
高等裁のレアル判事をはじめ、パライーバ州とロンドニア州の労働裁判事が五人、サンパウロ州とマット・グロッソ・ド・スル州の連邦地裁で二人の判事が、規律違反で免職された。どの判事も、告発内容を否定している。判事らは退職後、給料は全額支給され起訴はされない。ただ、社会的制裁を受ける。